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しぐさ・表情デュシェンヌ・スマイルとは
英語: Duchenne Smile ・ 更新日 2026-10-03
デュシェンヌ・スマイルとは、口元だけでなく目の周りの筋肉(眼輪筋)も動く笑顔のことです。19世紀の神経学者デュシェンヌの観察にちなみ、心理学者エクマンらが名づけました。
01デュシェンヌ・スマイルをくわしく
笑顔の研究で使われる「デュシェンヌ・スマイル」という名前は、19世紀フランスの神経学者デュシェンヌ・ド・ブローニュが、頬を上げる大頬骨筋だけでなく、目の周りの眼輪筋も収縮する笑顔に気づいたことにちなみます。1982年、心理学者エクマン(Paul Ekman)とフリーセン(Wallace Friesen)はこの観察を引き継ぎ、意識して目の周りの筋肉(AU6)を動かせる人は10%未満だと推定し、作り笑いと見分ける手がかりとして整理しました。
2011年にマネラ(Manera)らがFrontiers in Psychology誌に発表した研究では、この「本物の笑顔」を見分ける能力の個人差が、注意力や視線の向け方、自閉的な傾向の強さではほとんど説明できないことが示されました。視線の動きのパターンに違いは見られたものの、見分ける成績そのものとの関連は統計的に有意ではありませんでした。
2021年にエトコフ(Etcoff)らが発表した研究では、目尻のしわ用のボツリヌス毒素治療を受けた人の、治療前(デュシェンヌ・スマイルが出せる状態)と治療後(眼輪筋が動きにくい状態)の笑顔を比較しました。その結果、治療前の笑顔の方が「自然」「誠実」「強い」「幸せそう」と評価されました。治療後は見た目の年齢が約1歳若く見積もられましたが、魅力的だとは評価されませんでした。
これらの研究から、目元の動きが伴う笑顔は、本物の感情や協力的な意図を伝える手がかりになっていると考えられています。ただし、デュシェンヌ・スマイルが常に「本当の喜び」だけを意味するとは限らず、意図的に作られる場合もあると指摘されており、笑顔の種類だけで相手の気持ちを完全に判断することはできません。
02身近な例
サプライズでプレゼントをもらった瞬間の笑顔と、カメラの前で「はい、チーズ」と作る笑顔を比べると、前者は目元にもしわが寄り、後者は口元だけが上がることが多いです。これがデュシェンヌ・スマイルの違いです。
RESEARCH研究の解説記事
作り笑いと本物の笑顔は見分けられるか。研究でわかった正解率と、見抜くコツ(しぐさと本音)
FAQよくある質問
デュシェンヌ・スマイルとは何ですか?
デュシェンヌ・スマイルとは、口元だけでなく目の周りの筋肉(眼輪筋)も動く笑顔のことです。19世紀の神経学者デュシェンヌの観察にちなみ、心理学者エクマンらが名づけました。
デュシェンヌ・スマイルがあれば必ず本物の笑顔ですか?
必ずそうとは限りません。目元の動きを伴う笑顔は作られることもあると指摘されており、デュシェンヌ・スマイルだけで感情を完全に判断することはできません。
デュシェンヌ・スマイルは自分で作れますか?
研究では、意識して目の周りの眼輪筋を動かせる人は10%未満と推定されています。多くの人にとって、意図的に再現するのは難しい動きです。
出典
- Ekman, P., & Friesen, W. V. (1982). Felt, false, and miserable smiles. Journal of Nonverbal Behavior, 6, 238-252.(背景・古典)
- Manera, V., Del Giudice, M., Grandi, E., & Colle, L. (2011). Individual differences in the recognition of enjoyment smiles: No role for perceptual-attentional factors and autistic-like traits. Frontiers in Psychology, 2, 143.
- Etcoff, N., Stock, S., Krumhuber, E. G., & Reed, L. I. (2021). A novel test of the Duchenne marker: Smiles after botulinum toxin treatment for crow's feet wrinkles. Frontiers in Psychology, 11, 612654.