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しぐさ・表情

基本感情説とは

英語: Basic Emotion Theory ・ 更新日 2026-10-03

基本感情説とは、喜び・悲しみ・怒り・恐怖・驚き・嫌悪など、一部の感情には文化を超えて共通する典型的な表情がある、とする考え方のことです。

01基本感情説をくわしく

基本感情説は、心理学者ポール・エクマンが1960年代末から1970年代にかけて提唱した考え方です。背景には、感情表出は進化によって組み込まれた、文化を超えて共通する反応であるとするチャールズ・ダーウィンの発想がありました。エクマンは、文字を持たず外部文化との接触が少なかったパプアニューギニアの集団を対象に調査を行い、現地の人々が示す表情と、欧米の人々がその場面から想像する感情がおおむね一致することを確認し、これを表情の普遍性を支持する根拠としました。

この研究にもとづき、エクマンは顔の筋肉の動きを分析する手法(Facial Action Coding System)を整備し、喜び・悲しみ・怒り・恐怖・驚き・嫌悪の6つを「基本感情」とし、それぞれに対応する典型的な表情があると主張しました。この枠組みは心理学だけでなく、表情認識の技術開発などにも影響を与えてきました。

一方、その後の研究では普遍性への異論も積み重ねられています。感情の表出は、見せてよい場面を定める文化的な「表出規則」に強く影響され、集団主義的な文化では表情の表れ方がより控えめになる傾向が報告されています。また、意図的なポーズ表情は文化差が出やすいのに対し、自然に生じる表情では差が小さいとの指摘もあります。さらに、リサ・フェルドマン・バレットらの知見を引く研究では、表情と生理反応や文脈情報との対応は弱く、表情だけから感情を一意に読み取れるとは言い切れないことが示されています。

このように基本感情説は感情研究に大きな影響を与えた一方、現在では「一部の表情には進化的な土台があるが、実際の表れ方は文化や状況によって調整される」という、より慎重な見方が優勢です。

02身近な例

初めて会った外国の人の笑顔を見て、言葉が通じなくても「嬉しいのだろう」と感じ取れるのは、基本感情説が注目してきた表情の共通性のひとつの例です。

03講座で学ぶ

基本感情説は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。

  1. 第10章感情とは何か。感情を構成する要素
  2. 第10章表情から感情は読み取れるのか。エクマンの基本感情説

FAQよくある質問

基本感情説とは何ですか?

喜び・悲しみ・怒り・恐怖・驚き・嫌悪など、一部の感情には文化を超えて共通する典型的な表情がある、とする考え方です。心理学者ポール・エクマンが1960年代末から1970年代に提唱しました。

基本感情説は今でも正しいとされていますか?

パプアニューギニアでの調査など、表情の普遍性を支持する研究がある一方、その後の研究では文化による表出規則の違いや、表情と生理反応との対応の弱さなど、普遍性に対する異論も多く示されています。現在は、進化的な土台と文化・状況による調整の両方を考える、より慎重な見方が主流です。

基本感情説への批判にはどんなものがありますか?

代表的な批判として、感情の表れ方は文化的な「表出規則」に強く影響される点、意図的なポーズ表情では文化差が出やすい点、そして表情だけから感情を一意に読み取れるとは限らない点などが挙げられます。リサ・フェルドマン・バレットらの研究はこうした立場の代表例です。

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出典

  1. Gallant, A., Mazerolle, M. P., Pelot, A., & Roy-Charland, A. (2026). Cultural differences in the production of emotional facial expressions: a review. Frontiers in Psychology, 17, 1699374.
  2. Adams, R. B., & Weisbuch, M. (2026). A Case for Moving Beyond Verbal Labeling in Facial Expression Perception Research. Affective Science, 7(1), 66-73.

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