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記憶・心理学概論検索(記憶)とは
英語: Retrieval ・ 更新日 2026-10-03
検索とは、記憶として貯蔵されている情報に、必要なときにアクセスする働きのことです。
01検索(記憶)をくわしく
検索(リトリーバル)とは、貯蔵されている記憶に、手がかりを使ってアクセスする過程を指す。Frankland, Josselyn, Köhler(2019)のレビューによれば、この概念の基礎は20世紀初頭のゼーモン(Semon)による「エクフォリー(ecphory)」という考え方、つまり検索の手がかりと、貯蔵された記憶痕跡(エングラム)との相互作用にある。
検索研究の重要な転換点が、テュルヴィングとパールストーン(Tulving & Pearlstone, 1966)による発見である。Frankland等(2019)はこの研究を「その後の研究の方向を大きく変えた、非常に影響力のある発見」と評し、同じ記憶でも手がかりによって思い出せたり思い出せなかったりすることを示したと説明している。これは、記憶が永久に失われた状態(可用性の低下)なのか、一時的に取り出せないだけの状態(到達可能性の低下)なのかを区別する考え方につながった。
近年の神経科学研究では、動物の脳内でエングラムに相当する細胞群を標識し操作する技術によって、自然な手がかりでは思い出せないが人工的な刺激で取り出せる「サイレント・エングラム」の存在が示されている。これは、記憶の可用性と到達可能性が、細胞レベルでも区別できることを示す例である。
検索は符号化と対になる過程であり、符号化時の文脈と検索時の文脈がどれだけ一致しているかが検索の成否に影響する(符号化特定性の原理)。「忘れた」と感じていても、実際には記憶自体が失われたのではなく、手がかりが合わず検索できないだけの場合もある。
02身近な例
覚えたはずの名前が思い出せなくても、その人と会った場所に行くと急に思い出せることがあるのは、検索の手がかりが働いた例。
03講座で学ぶ
検索(記憶)は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。
FAQよくある質問
検索(記憶)とは何ですか?
検索とは、記憶として貯蔵されている情報に、必要なときにアクセスする働きのことです。
検索の失敗と、記憶そのものが失われることの違いは何ですか?
Frankland等(2019)は、思い出せない原因には記憶が永久に失われる「可用性の低下」と、記憶はあるが一時的に取り出せない「到達可能性の低下」の2種類があると説明しています。多くの「忘れた」経験は後者にあたります。
思い出せない記憶は、手がかりがあれば必ず思い出せますか?
必ずではありません。符号化の時点で記憶に取り込まれた情報と、検索時の手がかりがどれだけ一致しているかによって成否が変わります(符号化特定性の原理)。動物実験では、自然な手がかりでは思い出せないが人工的な刺激でのみ取り出せる記憶(サイレント・エングラム)の存在も報告されています。