HOME / ゼロから学ぶ心理学 / 心理学用語辞典 / 横断研究とは

心理学の研究法

横断研究とは

英語: Cross-sectional Study ・ 更新日 2026-10-04

横断研究とは、ある1つの時点で、異なる年齢や条件の人たちを同時に調べ、その違いを比較する研究方法のことです。発達心理学では、たとえば5歳・10歳・15歳の子どもを同時に調べることで、年齢による違いを短期間で調べることができます。

01横断研究をくわしく

横断研究は、1回の調査で、曝露(調べたい要因)と結果の両方を同時に測定する観察研究の方法です。2016年のセティアによる方法論の解説では、横断研究は、追跡を続ける前向きのコホート研究に比べて、比較的早く、費用もかけずに行える点を利点として挙げています。ある時点での病気や特徴の割合(有病率)を調べたり、要因同士の関連を見つけたりするのに向いており、本格的な研究を行う前の準備段階として使われることもあります。

一方で、横断研究には大きな限界もあります。曝露と結果を同じ時点で測定するため、どちらが先に起きたのかがわからず、原因と結果の関係を結論づけることが難しい点です。たとえば、肥満の人が食事や運動の習慣を見直していた場合、調べた時点ではすでに習慣を変えてしまっているため、本当の関連がわかりにくくなる(逆の因果関係)といった問題が起こります。

発達心理学で横断研究を使うときには、年齢による違いに見えるものが、実は生まれた時代(世代)による違いである可能性に注意が必要です。2022年のサリバンらの研究では、12歳から21歳の若者を対象に、1回だけ測定した横断的なデータと、同じ人を4年間追跡した縦断的なデータを比較し、縦断的な調査で見られた認知能力の伸びの多くが、実は同じ検査を繰り返し受けたことによる「慣れ」の影響であったことを示しています。

このように、横断研究は年齢による違いを手早く調べられる一方で、年齢の効果と、生まれた時代による効果を区別できないという弱点があります。この弱点を補うために、異なる年齢の集団(コホート)を複数選び、それぞれを一定期間追跡する「コホート系列法」という、横断研究と縦断研究を組み合わせた方法も使われています。

02身近な例

5歳・10歳・15歳の子どもを同時に調査して、年齢とともに語彙力がどう変わるかを比べる研究は、横断研究の例です。ただし、15歳の子どもたちが育った時代の違いが結果に影響している可能性には注意が必要です。

03講座で学ぶ

横断研究は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。

  1. 第9章発達は子ども時代だけで終わらない

FAQよくある質問

横断研究とは何ですか?

横断研究とは、ある1つの時点で、異なる年齢や条件の人たちを同時に調べ、その違いを比較する研究方法のことです。

横断研究と縦断研究の違いは何ですか?

横断研究は1つの時点で異なる人たちを比較する方法であるのに対し、縦断研究は同じ人たちを長期間にわたって繰り返し調べる方法です。縦断研究は年齢による本当の変化を調べやすい一方、時間と費用がかかります。

横断研究の結果から、原因と結果の関係がわかりますか?

いいえ。横断研究は曝露と結果を同じ時点で測定するため、どちらが先に起きたのかがわからず、原因と結果の関係を結論づけることは難しいとされています。

RELATED同じ分野の用語

出版バイアスシグナル検出理論

出典

  1. Setia, M. S. (2016). Methodology Series Module 3: Cross-sectional Studies. Indian Journal of Dermatology, 61(3), 261-264.
  2. Sullivan, E. V., Thompson, W. K., Brumback, T., et al. (2022). Prior test experience confounds longitudinal tracking of adolescent cognitive and motor development. BMC Medical Research Methodology, 22, 177.

心理学用語辞典の一覧へ(202語)