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第11章 パーソナリティ ・ レッスン11-3パーソナリティはどう測るか。質問紙法と信頼性・妥当性
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-02
このレッスンの学習目標
- 質問紙法とはどのような性格の測定方法か説明できる
- 信頼性(内的一貫性)とは何かを、具体的な研究データで説明できる
- 妥当性(自己評定と他者評定の一致)とは何かを、具体的な研究データで説明できる
要点
- 質問紙法とは、多数の質問項目に本人が回答し、その回答から性格の特性の強さを数値化する、性格の代表的な測定方法のことです。
- 信頼性(内的一貫性)とは、1つの特性を測る複数の項目の回答が、互いにどれくらい一致しているかを示す指標のことです。
- 妥当性の1つである自己・他者評定の一致とは、本人の回答と、親しい人による評定が、どれくらい一致しているかを示す指標のことです。
01性格はどう測るか。質問紙法
質問紙法とは、多数の質問項目に本人が回答し、その回答から性格の特性の強さを数値化する、性格の代表的な測定方法のことです。
前のレッスンで学んだビッグファイブのような特性を、実際に測定するために広く使われているのが、質問紙法です。本人に多数の質問項目(たとえば「私は社交的だと思う」)を示し、どの程度自分にあてはまるかを数値で回答してもらい、その回答を特性ごとに合計・平均することで、特性の強さを数値化します。
2011年に学術誌NeuroImageに発表された、シュー(Xu)とポテンザ(Potenza)の論文では、51人の健康な成人(女性21人、平均年齢29.6歳)を対象に、240項目からなる質問紙であるNEO-PI-Rを実施し、ビッグファイブの5つの特性を数値化しています。
こうした質問紙による測定が、どれだけ信頼できる(信頼性)か、そしてどれだけ実際の性格を捉えている(妥当性)かは、別々に検討する必要があります。次の節から、それぞれを具体的な研究データで見ていきます。
02信頼性とは何か。内的一貫性
信頼性(内的一貫性)とは、1つの特性を測る複数の質問項目の回答が、互いにどれくらい一致しているかを示す指標のことです。
信頼性には複数の種類がありますが、質問紙法でよく使われるのが、内的一貫性です。これは、1つの特性(たとえば外向性)を測るために用意された複数の質問項目に対する回答が、互いにどれくらい一致しているかを示す指標で、クロンバックのアルファ係数という数値で表されます。アルファ係数は0から1の範囲をとり、1に近いほど、項目間の回答の一致度が高いことを意味します。
シューとポテンザの論文によると、51人の成人が回答したNEO-PI-Rのアルファ係数は、神経症傾向.85、外向性.81、開放性.79、協調性.83、勤勉性.79でした。同じ論文は「アルファ係数は0.79から0.85の範囲であり、高い内的一貫性を示している」と述べています。
一般に、アルファ係数が.70以上であれば、内的一貫性は十分とされることが多く、この研究のNEO-PI-Rの値は、いずれもその基準を上回っています。これは、各特性を測る複数の質問項目が、同じ1つの特性をまとまって捉えていることを示しています。
03妥当性とは何か。自己評定と他者評定の一致
妥当性の1つである自己・他者評定の一致とは、本人の回答(自己評定)と、親しい人による評定(他者評定)が、どれくらい一致しているかを示す指標のことです。
質問紙が高い内的一貫性を示していても、それが実際の性格を正しく捉えているとは限りません。そこで使われる妥当性の指標の1つが、本人の回答(自己評定)と、本人をよく知る人による評定(他者評定)が、どれくらい一致しているかを調べる方法です。両者が一致していれば、質問紙が、本人の内側だけでなく、外から見てもわかる性格の特徴を捉えていると考えられます。
2010年に学術誌European Journal of Personalityに発表された、シムズ(Simms)らの論文では、303組の大学生の友人同士(606人)に、ビッグファイブ自己評定尺度(BFI)への回答と、友人についての他者評定への回答を求めています。
同じ論文によると、自己評定と他者評定の相関係数は、神経症傾向.36、外向性.62、勤勉性.43、協調性.36、開放性.34でした。外向性のように外から観察しやすい特性ほど、自己評定と他者評定が一致しやすい傾向がうかがえます。
04信頼性が高くても、妥当性は別に確認が必要
内的一貫性(信頼性)が高くても、自己評定と他者評定の一致(妥当性)は、特性によって.34から.62程度まで差があります。
ここまでの2つの研究を合わせると、NEO-PI-Rのような質問紙は、1つの特性を測る項目どうしの一致(内的一貫性)という意味では、.79から.85と高い値を示しています。一方、自己評定と他者評定という、異なる視点からの一致(妥当性)は、.34から.62の範囲にとどまっており、内的一貫性よりは低くなっています。
この違いは、信頼性と妥当性が、別の問いに答える指標であることを示しています。信頼性は「同じ質問紙の中で、回答が一貫しているか」を、妥当性は「その質問紙が、測りたいもの(性格)を実際に捉えているか」を確認するものです。
性格検査の結果を見るときは、その検査がどの程度の信頼性・妥当性のデータにもとづいているかを確認することが、結果をどこまで信頼できるかを判断する手がかりになります。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
質問紙法とは、多数の質問項目に本人が回答し、その回答から性格の特性の強さを数値化する、性格の代表的な測定方法のことです。
信頼性(内的一貫性)とは、1つの特性を測る複数の質問項目の回答が、互いにどれくらい一致しているかを示す指標のことです。
妥当性とは、ある測定方法が、測りたいものを実際にどれだけ正しく捉えているかを示す指標のことです。
クロンバックのアルファ係数とは、1つの特性を測る複数の質問項目の回答の一致度を、0から1の数値で表す、内的一貫性の指標のことです。
出典
- Xu, J., & Potenza, M. N. (2011). White matter integrity and five-factor personality measures in healthy adults. NeuroImage, 59(1), 800-807.
- Simms, L. J., Zelazny, K., Yam, W. H., & Gros, D. F. (2010). Self-informant agreement for personality and evaluative person descriptors: Comparing methods for creating informant measures. European Journal of Personality, 24(3), 207-221.
LESSON 11-3 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. 信頼性(内的一貫性)とは、何を示す指標ですか。
- 1つの特性を測る複数の質問項目の回答が、互いにどれくらい一致しているか
- 本人の性格が、1年後にどれくらい変わるか
- 性格検査を受けた人数が、十分に多いかどうか
答えを見る
正解: 1. 1つの特性を測る複数の質問項目の回答が、互いにどれくらい一致しているか
信頼性(内的一貫性)とは、1つの特性を測る複数の質問項目の回答が、互いにどれくらい一致しているかを示す指標です。
Q2. シューとポテンザの2011年の研究で、NEO-PI-Rのアルファ係数について正しいものはどれですか。
- 5つの特性すべてで0.79から0.85の範囲だった
- すべての特性で0.10未満だった
- 外向性だけが測定され、他の特性は測定されなかった
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正解: 1. 5つの特性すべてで0.79から0.85の範囲だった
NEO-PI-Rのアルファ係数は、神経症傾向.85、外向性.81、開放性.79、協調性.83、勤勉性.79で、いずれも0.79から0.85の範囲でした。
Q3. シムズらの2010年の研究で、自己評定と他者評定の一致について正しいものはどれですか。
- 相関係数は特性によって異なり、外向性で.62、開放性で.34だった
- すべての特性で、自己評定と他者評定はまったく一致しなかった
- すべての特性で、相関係数はちょうど1.00だった
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正解: 1. 相関係数は特性によって異なり、外向性で.62、開放性で.34だった
自己評定と他者評定の相関係数は、神経症傾向.36、外向性.62、勤勉性.43、協調性.36、開放性.34で、特性によって差がありました。
レッスン11-3はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。