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第11章 パーソナリティ ・ レッスン11-1

パーソナリティとは何か。特性の一貫性と変化

読む時間の目安: 6分 ・ 公開日 2026-10-02

このレッスンの学習目標

要点

  1. パーソナリティ(性格)とは、思考・感情・行動のパターンにみられる、時間や状況を超えて比較的安定した個人差のことです。
  2. ランクオーダーの一貫性とは、集団の中での人々の相対的な順位が、時間が経っても保たれているかを調べる考え方のことです。
  3. 2006年に発表された2つの研究によると、成人期の中での10〜15年の間隔では性格の一貫性は高く、子ども時代から中年期までの40年という長い間隔では、一貫性はかなり低くなりました。

01パーソナリティ(性格)とは何か

パーソナリティとは、思考・感情・行動のパターンにみられる、時間や状況を超えて比較的安定した個人差のことです。

パーソナリティという言葉は、日常では「性格」とほぼ同じ意味で使われます。2006年に学術誌Personality and Social Psychology Bulletinに発表されたテラチアーノ(Terracciano)・コスタ(Costa)・マクレー(McCrae)の論文は、「1970年代に長期的な研究データが登場して以来(例: Block, 1977)、パーソナリティの特性における個人差が、長期間にわたって安定していることは明らかになっている」と述べています。

同じ論文によると、心理学の研究では、パーソナリティを、神経症傾向・外向性・開放性・協調性・勤勉性という5つの特性(ビッグファイブ、五因子モデル)で捉える方法が広く使われています。これらの特性は、NEO-PI-Rという質問紙によって測定されます。

このレッスンでは、「性格はどれくらい一貫しているのか、どれくらい変わるのか」という問いを、年齢や時間の間隔が異なる2つの研究データから確認します。

02一貫性をどう調べるか。ランクオーダーの一貫性

ランクオーダーの一貫性とは、集団内での人々の相対的な順位が、時間が経っても保たれているかを調べる考え方のことです。

テラチアーノらの論文は、性格の一貫性を調べる方法として、「ランクオーダーの一貫性(差次的安定性)」という考え方を使っています。これは、ある時点で測定した人々の特性の順位(誰が高く、誰が低いか)が、別の時点でもどれくらい保たれているかを、2回の測定の相関係数で示す方法です。

同じ論文によると、分析に使われたNEO-PI-Rのデータは676人の成人を対象とし、2回の測定の間隔は平均10年(6〜15年)でした。さらに、GZTSという別の質問紙を使った、より大きな1063人のデータでは、測定の間隔は平均16.6年(6〜42年)で、30〜50歳・50〜65歳・65歳以上という3つの年齢グループに分けて分析されました。

相関係数が高いほど、時間が経っても、集団内での人々の相対的な順位が保たれていることを意味します。たとえば、ある時点で外向性が高いグループの中で上位だった人が、何年後にも同じグループの中で上位にいる傾向が強いほど、一貫性は高いと判断されます。

0330歳を過ぎても性格はほとんど変わらないのか

テラチアーノらの2006年の研究では、30歳以降の性格の一貫性に、年齢グループによる違いはほとんど見られませんでした。

テラチアーノらの論文の結果(表3)によると、NEO-PI-Rで測定したビッグファイブの5つの特性の、年齢グループ全体でのランクオーダーの一貫性(相関係数の中央値)は、神経症傾向.78、外向性.83、開放性.85、協調性.80、勤勉性.81でした。

同じ論文によると、30〜50歳・50〜65歳・65歳以上という3つの年齢グループを比較した結果、差が見られたのは外向性のみで、50〜65歳のグループ(.85)の方が、65歳以上のグループ(.79)より一貫性が高いという結果でした。ほかの4つの特性では、年齢グループによる統計的に意味のある違いは見られませんでした。

この結果から、テラチアーノらの論文は、「30歳を過ぎても性格は基本的に安定している」という、これまでの研究の主張を補強するものだと結論づけています。

04性格はまったく変わらないわけではない。子どもから中年期への40年

ハンプソンとゴールドバーグの2006年の研究では、子ども時代から40年後の中年期までの一貫性は、成人期の中での一貫性よりかなり低い結果でした。

一方、2006年に学術誌Journal of Personality and Social Psychologyに発表された、ハンプソン(Hampson)とゴールドバーグ(Goldberg)の論文は、もっと長い期間での一貫性を調べています。この研究では、1950年代後半から60年代に小学校(1〜2年生、5〜6年生)に通っていた子どもたちを、担任教師がビッグファイブの特性で評定し、その約40年後、中年期になった本人への質問紙(自己報告)で、再び同じ特性を測定しました。

同じ論文によると、子ども時代から中年期までの40年間の一貫性(相関係数)は、外向性が.27〜.29、勤勉性が.23〜.25、開放性が.16〜.17、協調性が.08〜.09、神経症傾向は.00という結果でした。

テラチアーノらの研究で示された、成人期の中での10〜15年の一貫性(.78〜.85)と比べると、子ども時代から中年期にかけての40年間の一貫性は、どの特性でもかなり低くなっています。この違いには、測定の間隔が長いこと、子どもから大人になる間の発達の変化、評定する人が教師から本人に変わったことなど、複数の理由が関わっていると考えられます。性格は、短い期間ではかなり一貫していますが、人生の長いスパンでは変わる余地も残されている、という両面を示す結果です。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。

パーソナリティ(特性)Personality trait

パーソナリティ(特性)とは、思考・感情・行動のパターンにみられる、時間や状況を超えて比較的安定した個人差のことです。

ランクオーダーの一貫性Rank-order consistency

ランクオーダーの一貫性とは、集団内での人々の相対的な順位が、時間が経っても保たれているかを示す、性格心理学の考え方のことです。

ビッグファイブ(五因子モデル)Five-Factor Model

ビッグファイブ(五因子モデル)とは、神経症傾向・外向性・開放性・協調性・勤勉性という5つの特性で、人のパーソナリティを捉える考え方のことです。

出典

  1. Terracciano, A., Costa, P. T., & McCrae, R. R. (2006). Personality Plasticity After Age 30. Personality and Social Psychology Bulletin, 32(8), 999-1009.
  2. Hampson, S. E., & Goldberg, L. R. (2006). A First Large-Cohort Study of Personality-Trait Stability Over the 40 Years Between Elementary School and Midlife. Journal of Personality and Social Psychology, 91(4), 763-779.

LESSON 11-1 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。

Q1. ランクオーダーの一貫性とは、何を調べる考え方ですか。
  1. 集団内での人々の相対的な順位が、時間が経っても保たれているかどうか
  2. 本人が自分の性格を良いと思っているかどうか
  3. 性格診断テストの点数が毎回まったく同じ値になるかどうか
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正解: 1. 集団内での人々の相対的な順位が、時間が経っても保たれているかどうか
ランクオーダーの一貫性とは、集団内での人々の相対的な順位が、時間が経っても保たれているかを調べる考え方です。

Q2. テラチアーノらの2006年の研究で、NEO-PI-Rのビッグファイブの一貫性(相関係数の中央値)について正しいものはどれですか。
  1. 5つの特性すべてで.78〜.85という高い値を示した
  2. すべての特性で一貫性はゼロに近かった
  3. 30歳未満でのみ高い一貫性が見られた
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正解: 1. 5つの特性すべてで.78〜.85という高い値を示した
テラチアーノらの研究では、ビッグファイブの5つの特性の一貫性(相関係数の中央値)は、神経症傾向.78〜開放性.85という高い範囲でした。

Q3. ハンプソンとゴールドバーグの2006年の研究で、子ども時代から中年期までの40年間の一貫性について正しいものはどれですか。
  1. 成人期の中での10〜15年の一貫性と比べて、どの特性でもかなり低かった
  2. 成人期の中での一貫性より高かった
  3. すべての特性で、成人期の一貫性とまったく同じ値だった
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正解: 1. 成人期の中での10〜15年の一貫性と比べて、どの特性でもかなり低かった
子ども時代から中年期までの40年間の一貫性(外向性.27〜.29など)は、成人期の中での10〜15年の一貫性(.78〜.85)と比べて、かなり低い結果でした。

レッスン11-1はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第11章 パーソナリティ のレッスン一覧
  1. 11-1性格の一貫性と変化
  2. 11-2特性論とビッグファイブ
  3. 11-3性格検査の信頼性と妥当性
  4. 11-4MBTIと血液型性格判断
  5. 11-5性格か状況か

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