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第9章 発達 ・ レッスン9-3愛着とは何か
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-02
このレッスンの学習目標
- 愛着とは何かを、ボウルビィの考え方にもとづいて説明できる
- エインズワースのストレンジ・シチュエーション法と、そこで分類される愛着パターンを説明できる
- 愛着が形成される時期と、その後の発達への影響について、具体的な研究にもとづいて説明できる
要点
- 愛着とは、乳児と主な養育者との間に形成される、特別な情緒的結びつきのことです。
- エインズワースが開発したストレンジ・シチュエーション法では、乳児の愛着は、安定型・回避型・抵抗型などのパターンに分類されます。
- 生後12か月より前に安定した養育者のもとに置かれた子どもは、そうでない子どもよりも、安定した愛着を形成しやすいことが、複数の研究で示されています。
01愛着とは何か
愛着とは、乳児と主な養育者との間に形成される、特別な情緒的結びつきのことです。
2010年に学術誌Journal of Pediatric Health Careに発表された論文によると、心理学者ボウルビィは、愛着を「乳児とその養育者との間の、その後の健全な発達の基盤となる、特別な関係」として捉えました。
同じ論文によると、ボウルビィは、愛着を、人間の基本的な欲求を満たすためにあらかじめ備わっている、生物学的な反応・行動のしくみとして説明しました。乳児が養育者の近くにいようとする行動は、進化の過程で身についた、生き延びるためのしくみだと考えられています。
心理学者エインズワースは、愛着を「探索のための安全基地」として捉えました。養育者が安全基地として機能していると、乳児は安心して周囲を探索できるようになります。
02ストレンジ・シチュエーション法。愛着を観察する方法
ストレンジ・シチュエーション法とは、見知らぬ場所で養育者との分離と再会を経験させ、そのときの乳児の様子から愛着のパターンを観察する手法のことです。
同じ論文によると、エインズワースが開発したストレンジ・シチュエーション法は、見知らぬ部屋で、養育者と乳児を分離させたり再会させたりする場面を作り、そのときの乳児の反応を観察する実験的な手法です。とくに、養育者との再会の場面での様子が、その子どもの愛着パターンを反映すると考えられています。
同じ論文によると、この手法で観察される愛着パターンは、大きく分けて、安定型(Bタイプ)・回避型(Aタイプ)・抵抗型(Cタイプ)・無秩序型(Dタイプ)の4つに分類されます。安定型の乳児は、養育者が離れると多少の不安を示しますが、再会すると落ち着いて安心を得られます。
一方、回避型の乳児は、養育者が離れても動じないように見え、再会しても養育者を避けるような行動を示します。抵抗型の乳児は、分離の間にとても強い不安を示し、再会しても、近づきたい気持ちと抵抗したい気持ちの間で揺れるような行動を見せます。
03愛着パターンの割合と、その後の発達への関わり
アメリカの研究では、乳児の65〜70%が安定型の愛着を示す一方、安定しない愛着を示す子どもには、その後の発達上の課題との関連が報告されています。
同じ論文によると、アメリカの研究では、乳児のおよそ65〜70%が安定型の愛着を示し、回避型はアメリカの調査で20〜25%、抵抗型は10%未満とされています。
同じ論文によると、安定した愛着は、感情を適切に表現し、人とのコミュニケーションの基盤になるだけでなく、感情を自分で調整する力の土台にもなるとされています。
一方、同じ論文によると、回避型や抵抗型の愛着を示す子どもには、行動上の問題や情緒面の難しさ、対人関係の苦手さがみられる傾向があり、無秩序型の愛着は、攻撃性を含む行動上の問題と関連することが報告されています。また、愛着関係がうまく築けていない場合、認知発達の遅れとの関連も報告されています。
04愛着が形成される時期。生後12か月という目安
生後12か月より前に安定した養育者のもとに置かれた子どもは、そうでない子どもよりも、安定した愛着を形成しやすいことが、複数の研究で示されています。
2011年に学術誌Monographs of the Society for Research in Child Developmentに発表された論文によると、複数の縦断研究とメタ分析を総合すると、生後12か月より前に養子として引き取られた子どもは、養子に出されていない子どもと同程度に、安定した愛着を形成しやすいことが示されています。
同じ論文によると、ルーマニアの施設で育った子どもを里親家庭に移すブカレスト早期介入プロジェクト(BEIP)では、生後24か月より前に里親家庭に移された子どもは、24か月より後に移された子どもに比べて、愛着の安定性において良い結果を示しました。
ただし、同じ論文は、生後12か月より前という早い時期の養育環境の変化が、安定した愛着形成を完全に保証するわけではないとも述べています。早い時期の良い養育環境は、安定した愛着を形成しやすくする大きな要因ですが、唯一の要因ではありません。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
愛着とは、乳児と主な養育者との間に形成される、特別な情緒的結びつきのことです。
安全基地とは、乳児が安心して周囲を探索するための拠り所となる、養育者との関係のことです。
ストレンジ・シチュエーション法とは、見知らぬ場所で養育者との分離と再会を経験させ、そのときの乳児の様子から愛着のパターンを観察する手法のことです。
EXAMPLES身近な例で深める
このレッスンの内容を、日常の疑問にあてはめた研究解説記事です。
出典
- Flaherty, S. C., & Sadler, L. S. (2011). A Review of Attachment Theory in the Context of Adolescent Parenting. Journal of Pediatric Health Care, 25(2), 114-121.
- Zeanah, C. H., Gunnar, M. R., McCall, R. B., Kreppner, J. M., & Fox, N. A. (2011). Sensitive Periods. Monographs of the Society for Research in Child Development, 76(4), 147-162.
LESSON 9-3 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. ボウルビィが愛着をどのようなものとして捉えたか、正しい説明はどれですか。
- 人間の基本的な欲求を満たすために備わっている、生物学的な反応・行動のしくみ
- 文化によって完全に異なり、共通する基盤がないもの
- 生後6か月を過ぎると消えてしまう、一時的な感情
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正解: 1. 人間の基本的な欲求を満たすために備わっている、生物学的な反応・行動のしくみ
ボウルビィは、愛着を、人間の基本的な欲求を満たすためにあらかじめ備わっている、生物学的な反応・行動のしくみとして説明しました。
Q2. エインズワースのストレンジ・シチュエーション法で、安定型(Bタイプ)の乳児の特徴として正しい説明はどれですか。
- 養育者が離れると多少の不安を示すが、再会すると落ち着いて安心を得られる
- 養育者が離れても離れたことにまったく動じない
- 再会しても、養育者を避けるような行動を示す
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正解: 1. 養育者が離れると多少の不安を示すが、再会すると落ち着いて安心を得られる
安定型の乳児は、養育者が離れると多少の不安を示しますが、再会すると落ち着いて安心を得られます。
Q3. ブカレスト早期介入プロジェクト(BEIP)の結果について、正しい説明はどれですか。
- 生後24か月より前に里親家庭に移された子どもは、24か月より後に移された子どもより愛着の安定性で良い結果を示した
- 里親家庭に移される時期は、愛着の安定性にまったく関係しなかった
- 施設で育った子どもは、里親家庭に移っても愛着が改善しなかった
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正解: 1. 生後24か月より前に里親家庭に移された子どもは、24か月より後に移された子どもより愛着の安定性で良い結果を示した
BEIPでは、生後24か月より前に里親家庭に移された子どもは、24か月より後に移された子どもに比べて、愛着の安定性において良い結果を示しました。
レッスン9-3はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。