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第12章 社会心理学 ・ レッスン12-1対人魅力はどう生まれるか。近さ・類似性・外見の影響
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-02
このレッスンの学習目標
- 対人魅力とは何かを、研究にもとづいて説明できる
- 近接性効果が、友人関係の形成にどの程度強く影響するかを、具体的な研究データで説明できる
- 出会ったばかりの相手への好意には、類似性より身体的魅力が強く関わる場合があることを説明できる
要点
- 対人魅力とは、他者に対して抱く好意的な感情や、関わりを持ちたいと思う気持ちのことです。
- 2022年に発表された、小学生235人を対象にした研究によると、教室で新しく隣の席になった子どもたちは、新しい友人関係を結ぶ確率が8〜10倍高くなりました。
- 2017年の研究では、初対面の相手への恋愛的関心を予測したのは、相手を自分より身体的に魅力的だと感じるかどうかで、類似性や自己報告された特性は予測しませんでした。
01対人魅力とは何か
対人魅力とは、他者に対して抱く好意的な感情や、関わりを持ちたいと思う気持ちのことです。
対人魅力とは、他者に対して抱く好意的な感情や、関わりを持ちたいと思う気持ちのことです。恋愛感情に限らず、友人関係や職場の人間関係にもあてはまります。
心理学では、対人魅力がどのような条件で生まれやすいかを、偶然の出来事としてではなく、繰り返し確認できる傾向として研究してきました。代表的な要因が、近接性・類似性・身体的魅力の3つです。
このレッスンでは、2017年から2022年に発表された3つの研究から、それぞれの要因が対人魅力にどう関わるかを確認します。
02近接性効果。物理的に近い人を好きになりやすい
近接性効果とは、物理的に近くにいる相手ほど、好意を持ちやすく、友人関係を築きやすい傾向のことです。
2022年に学術誌Frontiers in Psychologyに発表された、フォー(Faur)とラーセン(Laursen)の論文は、米国の小学3〜5年生235人を対象に、教室の座席と友人関係の関連を調べました。2回の友人指名調査の間隔は13〜14週間でした。
同じ論文によると、1回目の調査の時点で、隣の席に座っていた児童は、そうでない児童に比べて、友人として指名される確率が3〜5倍高く、お互いに友人として指名し合う「相互的な友人関係」では12〜18倍高いという結果でした。
さらに、2回の調査の間に新しく隣の席になった児童は、新しい友人関係を結ぶ確率が8〜10倍、相互的な新しい友人関係では32〜46倍高くなりました。同じ教室という条件をそろえても、座席の近さだけで、これほど大きな差が生まれています。
03類似性。似ている人に惹かれるのはなぜか
態度が似ている相手への好意は、2020年のメタ分析では相関係数0.46という、強い関連として示されています。
2020年にFrontiers in Psychologyに発表された、フィリップ=ミュラー(Philipp-Muller)らの論文は、態度の類似性が対人魅力を生む効果について、4つの研究(参加者合計428人)を統合したメタ分析をおこないました。
その結果、態度の類似性と、相手への好意的な感情(情緒的魅力)との相関係数は0.46でした。これは、心理学の研究のなかでもかなり強い関連を示す値です。
ただし、同じ論文によると、相手への好意が、実際に「関わりたい」という気持ちにつながるかどうかは別の話です。態度への自信や重要度が高い条件では、好意が「関わりたい」気持ちを予測する相関は0.46だったのに対し、低い条件では0.16にとどまり、統計的に意味のある関連ではありませんでした。似ている意見から生まれた好意が、実際に仲良くなりたいという行動の意欲につながるとは限らず、相手がどれだけその意見にこだわっているかが影響すると考えられます。
04身体的魅力。出会ったばかりの相手では何が効くか
2017年の研究では、初対面の相手への恋愛的関心を予測したのは、相手を自分より身体的に魅力的だと感じるかどうかでした。
2017年に学術誌European Journal of Personalityに発表された、オルダーバック(Olderbak)らの論文は、面識のない異性への恋愛的関心が何によって予測されるかを調べました。102人の映像候補から選ばれた24人の映像を、335人の評定者が視聴し、評価しました。
この研究は、類似性・非類似性・社会的に望ましい特性・性別による違い・見た目からわかる特性という5つの説明を同時に検証しました。その結果、恋愛的関心を予測したのは、相手を自分より身体的に魅力的だと評価したかどうかでした。
類似性や、本人が自己報告した特性は、恋愛的関心を予測しませんでした。この結果は、面識のない相手を一度見ただけの段階では、類似性よりも「自分と比べてどれだけ魅力的に見えるか」という比較のほうが強く働くことを示しています。ただし、この研究は「出会った瞬間」に限った結果であり、関係が深まった後の魅力の感じ方まで説明するものではない点に注意が必要です。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
対人魅力とは、他者に対して抱く好意的な感情や、関わりを持ちたいと思う気持ちのことです。
近接性効果とは、物理的に近くにいる相手ほど、好意を持ちやすく、友人関係を築きやすくなる傾向のことです。
類似性-魅力仮説とは、態度や価値観が自分と似ている相手ほど魅力を感じやすい、という考え方のことです。社会心理学者バーン(Donn Byrne)らの実験研究で知られています。
EXAMPLES身近な例で深める
このレッスンの内容を、日常の疑問にあてはめた研究解説記事です。
- 価値観が同じ相手ほどうまくいくのか、類似性と恋愛の相性を読み解いた記事 (しぐさと本音)
- 会う回数が多いほど好きになるのか、単純接触効果を恋愛の研究で読み解いた記事 (しぐさと本音)
出典
- Faur, S., & Laursen, B. (2022). Classroom Seat Proximity Predicts Friendship Formation. Frontiers in Psychology, 13, 796002.
- Philipp-Muller, A., Wallace, L. E., Sawicki, V., Patton, K. M., & Wegener, D. T. (2020). Understanding When Similarity-Induced Affective Attraction Predicts Willingness to Affiliate: An Attitude Strength Perspective. Frontiers in Psychology, 11, 1919.
- Olderbak, S. G., Malter, F., Wolf, P. S. A., Jones, D. N., & Figueredo, A. J. (2017). Predicting Romantic Interest at Zero Acquaintance: Evidence of Sex Differences in Trait Perception but Not in Predictors of Interest. European Journal of Personality, 31(1), 42-62.
LESSON 12-1 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. 対人魅力の説明として正しいものはどれですか。
- 他者に対して抱く好意的な感情や、関わりを持ちたいと思う気持ちのこと
- 相手の収入や社会的地位だけで決まる感情のこと
- 恋愛関係にのみ使われ、友人関係にはあてはまらない言葉
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正解: 1. 他者に対して抱く好意的な感情や、関わりを持ちたいと思う気持ちのこと
対人魅力とは、他者に対して抱く好意的な感情や、関わりを持ちたいと思う気持ちのことで、友人関係や職場の人間関係にもあてはまります。
Q2. 2022年のフォーとラーセンの研究で、新しく隣の席になった児童について正しいものはどれですか。
- 新しい友人関係を結ぶ確率が8〜10倍高くなった
- 友人関係への影響はまったく見られなかった
- 座席が近いほど、むしろ友人になりにくかった
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正解: 1. 新しい友人関係を結ぶ確率が8〜10倍高くなった
同じ研究では、新しく隣の席になった児童が新しい友人関係を結ぶ確率は8〜10倍、相互的な新しい友人関係では32〜46倍高くなりました。
Q3. 2017年のオルダーバックらの研究で、初対面の相手への恋愛的関心を予測したものはどれですか。
- 相手を自分より身体的に魅力的だと感じるかどうか
- 態度や価値観の類似性
- 本人が自己報告した性格特性
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正解: 1. 相手を自分より身体的に魅力的だと感じるかどうか
この研究では、類似性や自己報告した特性ではなく、相手を自分より身体的に魅力的だと感じるかどうかが、初対面の相手への恋愛的関心を予測しました。
レッスン12-1はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。