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第12章 社会心理学 ・ レッスン12-3

同調と服従はなぜ起きるか。アッシュとミルグラムの実験

読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-02

このレッスンの学習目標

要点

  1. 同調とは、周囲の意見や行動に合わせて、自分の判断や行動を変えることです。
  2. 2023年の追試研究では、明らかに間違った集団の判断に合わせてしまう割合が33%で、1955年のアッシュの原実験の36.8%とほぼ同じ結果でした。
  3. 2014年のメタ分析では、権威者の指示にしたがって最大の電気ショックまで進んだ参加者の割合は、21の実験条件全体で43.6%でした。

01同調と服従とは何か

同調とは周囲の意見や行動に合わせることで、服従とは権威を持つ人の指示にしたがうことです。

同調とは、周囲の意見や行動に合わせて、自分の判断や行動を変えることです。服従とは、権威を持つ人からの指示にしたがって、行動を変えることです。どちらも、他者からの社会的な影響によって行動が変わる現象です。

心理学では、どのような条件で同調や服従が強くなるかを、実験によって調べてきました。代表的な実験が、線分の長さを判断させるアッシュ型の同調実験と、電気ショックを与えさせるミルグラム型の服従実験です。

このレッスンでは、2014年と2023年に発表された2つの研究から、同調と服従がどのような条件で起きやすいかを確認します。

02同調。明らかに間違った集団の判断に合わせてしまう

2023年の追試研究では、集団の誤った判断に合わせてしまう割合は33%で、1955年の原実験とほぼ同じ結果でした。

2023年に学術誌PLOS ONEに発表された、フランツェン(Franzen)とマーダー(Mader)の論文は、心理学者アッシュ(Asch)が1955年におこなった、線分の長さを判断する同調実験を、210人の参加者で追試しました。

実験では、1人の本物の参加者が、5人のサクラと一緒に、どの線分が見本と同じ長さかを答えます。サクラが全員で明らかに間違った線分を答えると、本物の参加者も間違った線分を選んでしまうことがあります。

同じ論文によると、報酬のない条件での誤答率は平均33%で、「1955年のアッシュの原実験の36.8%という結果を、ほぼ完全に再現するもの」でした。正解に金銭的な報酬をつけると誤答率は平均8ポイント下がりましたが、それでも誤答はなくなりませんでした。政治的な意見への賛否を尋ねた場合でも、集団の意見に合わせる割合は38%でした。

03服従。権威者の指示にどこまでしたがうのか

2014年のメタ分析では、権威者の指示にしたがって最大の電気ショックまで進んだ割合は、21の実験条件全体で43.6%でした。

2014年に学術誌PLOS ONEに発表された、ハズラム(Haslam)・ラフナン(Loughnan)・ペリー(Perry)の論文は、心理学者ミルグラム(Milgram)が1960年代におこなった、権威者の指示で電気ショックを与えさせる服従実験について、23の実験条件のうち21条件(参加者合計740人)を統合して分析しました。

この実験では、参加者は「先生」役として、「生徒」役(実際は俳優)が問題を間違えるたびに、実験者の指示にしたがって電気ショックの電圧を上げていきます。同じ論文によると、もっとも基本的な条件では、最大の電圧まで進んだ参加者の割合は62.5%でした。

21の実験条件全体をまとめると、最大の電圧まで進んだ割合は43.6%(740人中323人)でした。同じ論文は、実験者の指示の強さや正当性、参加者と「生徒」役との距離の近さなど、8つの要因が服従の割合に影響していたと分析しています。

04まとめ。同調と服従はなぜ起きるのか

同調も服従も、特定の状況が整えば、多くの人に起こりうる現象であることが、これらの研究から示されています。

2023年の追試研究と2014年のメタ分析は、どちらも、同調や服従が特別な性格の人だけに起きる現象ではなく、集団の圧力や権威者の指示といった状況の条件によって、多くの人に起こりうることを示しています。

ただし、服従の割合は、実験の条件によって43.6%から大きく変わることも、同じメタ分析からわかっています。権威者との距離や、指示の正当性といった状況の要因を知っておくことは、こうした影響に気づく手がかりになります。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。

同調Conformity

同調とは、周囲の意見や行動に合わせて、自分の判断や行動を変えることです。

服従Obedience

服従とは、権威を持つ人からの指示にしたがって、行動を変えることです。

アッシュ型同調実験Asch conformity paradigm

アッシュ型同調実験とは、明らかに正しい答えがあるにもかかわらず、周囲の人が全員同じ誤った答えを言うと、本人も誤った答えに合わせてしまうかどうかを調べる実験のことです。

出典

  1. Franzen, A., & Mader, S. (2023). The power of social influence: A replication and extension of the Asch experiment. PLOS ONE, 18(11), e0294325.
  2. Haslam, N., Loughnan, S., & Perry, G. (2014). Meta-Milgram: An Empirical Synthesis of the Obedience Experiments. PLOS ONE, 9(4), e93927.

LESSON 12-3 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。

Q1. 同調と服従の違いとして正しいものはどれですか。
  1. 同調は周囲の意見や行動に合わせること、服従は権威者の指示にしたがうこと
  2. 同調も服従も、まったく同じ現象を指す言葉
  3. 服従は子どもにしか見られず、大人には起きない現象
答えを見る

正解: 1. 同調は周囲の意見や行動に合わせること、服従は権威者の指示にしたがうこと
同調とは周囲の意見や行動に合わせることで、服従とは権威を持つ人からの指示にしたがうことです。

Q2. 2023年のフランツェンとマーダーの追試研究について正しいものはどれですか。
  1. 報酬がない条件での誤答率は平均33%で、1955年の原実験とほぼ同じだった
  2. 誤答はまったく見られず、アッシュの実験は再現されなかった
  3. 金銭的な報酬をつけると、誤答率はむしろ上がった
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正解: 1. 報酬がない条件での誤答率は平均33%で、1955年の原実験とほぼ同じだった
同じ研究では、報酬がない条件での誤答率は平均33%で、1955年のアッシュの原実験の36.8%とほぼ同じ結果でした。

Q3. 2014年のハズラムらのメタ分析について正しいものはどれですか。
  1. 21の実験条件全体で、最大の電圧まで進んだ割合は43.6%だった
  2. すべての実験条件で、服従率はまったく同じだった
  3. 服従率は、実験の条件にかかわらず常に100%に近かった
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正解: 1. 21の実験条件全体で、最大の電圧まで進んだ割合は43.6%だった
同じメタ分析では、21の実験条件全体をまとめると、最大の電圧まで進んだ割合は43.6%(740人中323人)でした。

レッスン12-3はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第12章 社会心理学 のレッスン一覧
  1. 12-1対人魅力の3つの要因
  2. 12-2説得の3つの仕組み
  3. 12-3同調と服従の実験
  4. 12-4偏見が生まれる仕組み
  5. 12-5助ける心、助けない心

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