HOME / 日常の心理学 / 講座 / 第12章 社会心理学 / 説得の3つの仕組み

第12章 社会心理学 ・ レッスン12-2

説得はどう起きるか。信頼性・反復・恐怖喚起の効果

読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-02

このレッスンの学習目標

要点

  1. 説得とは、情報源や伝え方のはたらきによって、相手の態度や意見を変えようとすることです。
  2. 2010年のメタ分析によると、信頼できる情報源からのメッセージは、直後には説得効果が高くなりますが、その効果は時間とともに小さくなっていきます。
  3. 2021年の実験では、同じ主張を2回目に見たときに真実だと感じる度合いがもっとも大きく上がり、2018年のメタ分析では、強い恐怖を感じさせるメッセージほど行動を変える効果が高いことが示されました。

01説得とは何か

説得とは、情報源や伝え方のはたらきによって、相手の態度や意見を変えようとすることです。

説得とは、情報源や伝え方のはたらきによって、相手の態度や意見を変えようとすることです。広告やニュース、身近な会話のなかでも日常的におこなわれています。

心理学では、どのような条件がそろうと説得が成功しやすいかを、実験やメタ分析によって調べてきました。代表的な要因が、情報源の信頼性・メッセージの反復・恐怖喚起の3つです。

このレッスンでは、2010年から2021年に発表された3つの研究から、それぞれの要因が説得や態度変化にどう関わるかを確認します。

02情報源の信頼性。信頼できる相手の言葉は効果が続くのか

2010年のメタ分析では、信頼できる情報源による説得効果は、直後には大きいものの、時間とともに小さくなっていきました。

2010年に学術誌Journal of Applied Social Psychologyに発表された、カムケール(Kumkale)・アルバラシン(Albarracín)・セイノレル(Seignourel)の論文は、情報源の信頼性が説得に与える効果について、18件の報告に含まれる54のデータセット(参加者合計4502人)を統合したメタ分析をおこないました。

その結果、信頼できる情報源からのメッセージは、直後の測定では効果量0.35という、はっきりとした説得効果を示しました。しかし、時間が経ってからの測定では効果量0.21まで下がり、この減少分(効果量-0.15)は統計的に意味のある変化でした。

つまり、同じ内容のメッセージでも、「誰が言ったか」という情報源の信頼性の効果は、時間とともに薄れていく傾向があります。情報源そのものの記憶よりも、メッセージの内容の記憶のほうが長く残りやすいことが関係していると考えられています。

03反復。同じ主張を繰り返し見ると真実だと感じやすくなる

2021年の実験では、ある主張を2回目に見たときに、真実だと感じる度合いがもっとも大きく上がりました。

2021年に学術誌Cognitive Research: Principles and Implicationsに発表された、ハッサン(Hassan)とバーバー(Barber)の論文は、同じ主張を何度も見ることが、その主張を真実だと感じる度合い(真実性評定)にどう影響するかを調べました。2つの実験の参加者はそれぞれ51人、57人でした。

1つ目の実験では、豆知識の文章を1・3・5・7・9回のいずれかの回数呈示し、2つ目の実験では最大27回まで呈示しました。その結果、どちらの実験でも、繰り返し見た文章は、初めて見る文章より、真実だと感じる度合いが高く評定されました。

同じ論文によると、真実だと感じる度合いの上昇幅は、1回目から2回目に見たときがもっとも大きく、その後の増加は徐々に小さくなっていきました。何度も見聞きした情報ほど、それだけで信じやすくなる可能性があることを示す結果です。

04恐怖喚起。怖さを感じさせるメッセージは効果があるのか

2018年のメタ分析では、強い恐怖を感じさせるメッセージほど、行動を変える効果が高いという結果が示されました。

2018年に学術誌Health Psychology Reviewに発表された、ホワイト(White)とアルバラシン(Albarracín)の論文は、恐怖を喚起するメッセージ(たとえば健康被害を強く訴える広告など)が、実際の行動をどれだけ変えるかを調べたメタ分析です。

その結果、強い恐怖を感じさせるメッセージを受けた群は、恐怖を感じさせない統制群と比べて、効果量0.357の行動変化を示しました。弱い恐怖を感じさせるメッセージと比べても、効果量0.200の違いがありました。

さらに、一度きりの行動(たとえば予防接種を受けるなど)を呼びかけた場合は効果量0.537と大きく、繰り返しが必要な行動(たとえば運動を続けるなど)を呼びかけた場合は効果量0.283にとどまりました。恐怖喚起は、一度で終わる行動を促すときに、とくに効果を発揮しやすいと考えられます。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。

説得Persuasion

説得とは、情報源や伝え方のはたらきによって、相手の態度や意見を変えようとすることです。

情報源の信頼性効果Source credibility effect

情報源の信頼性効果とは、信頼できる人物や機関からのメッセージほど、説得の効果が高くなる傾向のことです。

真実性効果Illusory truth effect

真実性効果とは、同じ情報に繰り返し接するほど、その情報を真実だと感じやすくなる現象のことです。

出典

  1. Kumkale, G. T., Albarracín, D., & Seignourel, P. J. (2010). The Effects of Source Credibility in the Presence or Absence of Prior Attitudes: Implications for the Design of Persuasive Communication Campaigns. Journal of Applied Social Psychology, 40(6), 1325-1356.
  2. Hassan, A., & Barber, S. J. (2021). The Effects of Repetition Frequency on the Illusory Truth Effect. Cognitive Research: Principles and Implications, 6.
  3. White, B. X., & Albarracín, D. (2018). Investigating Belief Falsehood: Fear Appeals Do Change Behavior in Experimental Laboratory Studies. A Commentary on Kok et al. (2018). Health Psychology Review.

LESSON 12-2 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。

Q1. 説得の説明として正しいものはどれですか。
  1. 情報源や伝え方のはたらきによって、相手の態度や意見を変えようとすること
  2. 相手を脅して、無理やり言うことを聞かせること
  3. 広告の中だけで使われる、学術的には定義されていない言葉
答えを見る

正解: 1. 情報源や伝え方のはたらきによって、相手の態度や意見を変えようとすること
説得とは、情報源や伝え方のはたらきによって、相手の態度や意見を変えようとすることです。

Q2. 2010年のメタ分析で、信頼できる情報源による説得効果について正しいものはどれですか。
  1. 直後の効果量0.35から、時間が経つと0.21まで下がった
  2. 時間が経つほど、むしろ効果が大きくなった
  3. 情報源の信頼性は、説得効果にまったく関係がなかった
答えを見る

正解: 1. 直後の効果量0.35から、時間が経つと0.21まで下がった
同じメタ分析では、信頼できる情報源による説得効果は、直後は効果量0.35でしたが、時間が経つと0.21まで下がりました。

Q3. 2021年のハッサンとバーバーの実験で、真実だと感じる度合いの上昇について正しいものはどれですか。
  1. 1回目から2回目に見たときの上昇がもっとも大きかった
  2. 9回目以降に、急激に上昇幅が大きくなった
  3. 繰り返し見ても、真実だと感じる度合いはまったく変わらなかった
答えを見る

正解: 1. 1回目から2回目に見たときの上昇がもっとも大きかった
同じ実験では、真実だと感じる度合いの上昇は、1回目から2回目に見たときがもっとも大きく、その後の増加は徐々に小さくなりました。

レッスン12-2はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第12章 社会心理学 のレッスン一覧
  1. 12-1対人魅力の3つの要因
  2. 12-2説得の3つの仕組み
  3. 12-3同調と服従の実験
  4. 12-4偏見が生まれる仕組み
  5. 12-5助ける心、助けない心

講座の目次(全16章)へ