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第7章 思考と知能 ・ レッスン7-3認知バイアスとは何か。判断を誤らせる代表的なバイアス
読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-02
このレッスンの学習目標
- 認知バイアスとは何かを、ヒューリスティックとの関係とともに説明できる
- 確証バイアスとフレーミング効果を、具体例とともに説明できる
- サンクコスト効果が、すでに払ったコストにどう影響されるかを説明できる
要点
- 認知バイアスとは、情報処理のかたよりによって、判断が一定の方向に系統的に誤ってしまうことです。
- ヒューリスティックが生み出す誤りのパターンの一部は、確証バイアスやフレーミング効果として知られています。
- サンクコスト効果とは、すでに払ったコストが惜しくて、やめるべき物事をやめられなくなることです。
01認知バイアスとは何か
認知バイアスとは、情報処理のかたよりによって、判断が一定の方向に系統的に誤ってしまうことです。
前のレッスンで見た、利用可能性・アンカリング・代表性というヒューリスティックは、多くの場合は役立ちますが、特定の状況では、判断を一定の方向にかたよらせます。
このように、情報処理のかたよりによって、判断が系統的に誤ってしまうことを、認知バイアスと呼びます。この章では、確証バイアス、フレーミング効果、サンクコスト効果という、3つの代表的な認知バイアスを見ていきます。
02確証バイアス
確証バイアスとは、自分の予想や仮説に一致する情報を優先的に探し、一致しない情報を無視してしまう傾向のことです。
2020年に学術誌Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performanceに発表された論文によると、確証バイアスとは、自分の予想や仮説に一致する情報を優先的に探し、一致しない情報を無視してしまう傾向のことです。
同じ論文の視覚探索課題の実験では、目で見た位置を追跡したところ、参加者の視線は、探す対象(テンプレート)に一致する刺激に強く集まることが確認されました(F=73.1、p<.001)。
確証バイアスは、思い込みにとらわれず、自分の予想に合わない情報にも注意を向けることの難しさを示しています。
03フレーミング効果
フレーミング効果とは、同じ内容でも、得をする言い方と損をする言い方のどちらで伝えられるかによって、選ぶ答えが変わることです。
1981年の研究で、心理学者トヴェルスキーとカーネマンは、600人が死亡すると予想される病気に対する、2つの対策を参加者に選んでもらいました。
「200人が助かる」という、助かる人数を伝える言い方(得フレーム)では、確実に助かる人数が決まっている対策が好まれました。一方、「400人が死亡する」という、死亡する人数を伝える言い方(損フレーム)に変えると、賭けのような、確率で結果が決まる対策が好まれるようになりました。
2013年に学術誌EXCLI Journalに発表された論文は、この現象をフレーミング効果として紹介しています。助かる人数と死亡する人数は、同じ600人のうちの話なのに、言い方によって選ぶ答えが変わったのです。
04サンクコスト効果
サンクコスト効果とは、すでに払ったお金や時間が惜しくて、やめるべき物事をやめられなくなることです。
2019年に学術誌PLOS ONEに発表された論文の実験では、参加者に、ホテルの部屋で有料テレビの映画を10.95ドルで買ったが、5分後につまらないと感じた、という場面を読んでもらいました。別の参加者には、お金を払わず、無料でその映画が流れていた、という場面を読んでもらいました。
そのうえで、1(見続ける)から5(やめる)までの尺度で、この先どうするかを答えてもらいました。お金を払った場面を読んだ参加者の平均は3.04で、払わなかった場面を読んだ参加者の平均3.90より、見続けたいという方向に近い値でした。
映画がつまらないという事実は、お金を払ったかどうかに関係ないにもかかわらず、すでに払ったお金が、その後の判断に影響したのです。これがサンクコスト効果です。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
認知バイアスとは、情報処理のかたよりによって、判断が一定の方向に系統的に誤ってしまうことです。
確証バイアスとは、自分の予想や仮説に一致する情報を優先的に探し、一致しない情報を無視してしまう傾向のことです。
フレーミング効果とは、同じ内容でも、得をする言い方と損をする言い方のどちらで伝えられるかによって、選ぶ答えが変わることです。
サンクコスト効果とは、すでに払ったお金や時間が惜しくて、やめるべき物事をやめられなくなることです。
出典
- Walenchok, S. C., Goldinger, S. D., & Hout, M. C. (2020). The confirmation and prevalence biases in visual search reflect separate underlying processes. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 46(3), 274-291.
- Gong, J., Zhang, Y., Feng, J., Huang, Y., Wei, Y., & Zhang, W. (2013). Influence of framing on medical decision making. EXCLI Journal, 12, 20-29.
- Dijkstra, K. A., & Hong, Y. (2019). The feeling of throwing good money after bad: The role of affective reaction in the sunk-cost fallacy. PLOS ONE, 14(1), e0209900.
LESSON 7-3 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. 確証バイアスとは何ですか。
- 自分の予想に一致する情報を優先的に探す傾向
- 最初に示された数字に推定が引き寄せられること
- すでに払ったコストが惜しくてやめられないこと
答えを見る
正解: 1. 自分の予想に一致する情報を優先的に探す傾向
確証バイアスは、自分の予想や仮説に一致する情報を優先し、一致しない情報を無視してしまう傾向です。
Q2. トヴェルスキーとカーネマンの病気の対策を選ぶ実験で、「200人が助かる」という言い方(得フレーム)のとき、参加者はどちらの対策を好みましたか。
- 確実に助かる人数が決まっている対策
- 賭けのような、確率で結果が決まる対策
- どちらも同じくらい好まれた
答えを見る
正解: 1. 確実に助かる人数が決まっている対策
得をする言い方(得フレーム)では、確実に結果が決まっている対策が好まれました。
Q3. サンクコスト効果の実験で、有料の映画を見ていた参加者と、無料で見ていた参加者を比べると、どうなりましたか。
- 有料の参加者のほうが、見続けたい方向の答えが多かった
- 無料の参加者のほうが、見続けたい方向の答えが多かった
- 両者の答えに差はなかった
答えを見る
正解: 1. 有料の参加者のほうが、見続けたい方向の答えが多かった
お金を払った参加者の平均は3.04で、払わなかった参加者の3.90より、見続けたい方向に近い値でした。
レッスン7-3はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。