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第2章 心理学の研究法 ・ レッスン2-3相関と因果はどう違うのか。「関連がある」と「原因である」の差
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-01
このレッスンの学習目標
- 相関とは何かを、相関係数とともに説明できる
- 相関があっても因果と言えない理由を、交絡変数と逆の因果関係から説明できる
- 相関を示す研究と、因果を確かめる実験の違いを説明できる
要点
- 相関とは、ある変数が変化すると、別の変数も一緒に変化する関係のことで、強さと方向は相関係数という数値で表されます。
- 相関があっても、両方に影響する交絡変数(第三の変数)が背景にあったり、原因と結果が逆だったりする可能性があるため、因果関係とは言えません。
- 原因と結果の関係を確かめるには、条件を操作する実験が必要です。相関を示す研究は、新しい仮説のきっかけとして役立ちます。
01相関とは何か
相関とは、ある変数が変化すると、別の変数も一緒に変化する関係のことです。強さと方向は、-1から+1までの相関係数という数値で表されます。
2つの変数の間に、一方が増えると他方も増える(または減る)という関係が見られるとき、その関係を相関と呼びます。例えば「勉強した時間が長い人ほど、テストの点数が高い」という関係があれば、勉強時間とテストの点数には相関があります。
相関の強さと方向は、相関係数という数値で表されます。相関係数は-1から+1の範囲をとります。一方が増えると他方も増える関係を正の相関、一方が増えると他方は減る関係を負の相関と呼びます。0に近いほど、関係は弱いことを示します。
相関は、調査法や観察法で集めたデータからよく調べられます。しかし、相関があるとわかっても、そこから「どちらが原因か」まではわかりません。
02相関が因果とは言えない理由(1):交絡変数
2つの変数に相関が見られても、両方に影響する別の要因(交絡変数)が背景にある場合があります。
2つの変数AとBに相関が見られても、Aが直接Bの原因だとは限りません。AとBの両方に影響を与える、別の変数Cが背景にある場合があるからです。この変数Cを、交絡変数(第三の変数)と呼びます。
よく紹介される例が、コーヒーをよく飲む人ほど、あるがんになりやすいという関連です。2008年の研究法についての論文は、この関連の背景に、喫煙という交絡変数があることを紹介しています。喫煙者はコーヒーを多く飲む傾向があり、喫煙そのものががんの原因になっているため、コーヒーを飲むこと自体が原因とは言えません。
心理学の調査でも、同じ注意が必要です。「ある行動」と「ある心の状態」に相関が見られても、年齢や家庭の状況など、共通する別の要因が影響している可能性を考える必要があります。
03相関が因果とは言えない理由(2):逆の因果関係
AとBに相関が見られるとき、AがBの原因ではなく、BがAの原因になっている可能性もあります。
2024年に学術誌BMC Public Healthに発表された研究では、9〜10歳の子ども9538人を2年間追跡し、スクリーンタイム(画面を見る時間)と心の状態の関連を調べました。年齢や家庭の収入など複数の要因を統計的に調整したうえでも、スクリーンタイムが長い子どもほど、うつの症状が多い傾向がありました。
ただし研究者自身が論文の中で述べているとおり、この結果だけでは「スクリーンタイムが長いから、うつの症状が増える」とは言い切れません。反対に「うつの症状がある子どもほど、スクリーンタイムが長くなる」という、逆の因果関係の可能性も残ります。
この研究は、年齢や家庭の収入などいくつかの要因を統計的に調整しています。それでも研究者自身が、測っていない別の要因が影響している可能性を認めています。相関を使った研究には、こうした限界が常にあります。
04相関からわかること、因果を確かめるために必要なこと
相関は「関連があるか」を教えてくれますが、「何が原因か」を確かめるには、条件を操作する実験が必要です。
相関には価値があります。たくさんの人や行動のデータから、「何と何が関連しているか」という手がかりを見つけられるからです。この手がかりから、新しい仮説が生まれることもあります。
ただし、交絡変数や逆の因果関係の可能性がある限り、相関だけで原因を決めることはできません。前のレッスンで学んだ実験法は、条件(独立変数)を研究者が操作することで、こうした可能性を減らし、原因と結果の関係を確かめやすくする方法です。
ニュースやSNSで「○○と□□には関連があるとわかった」という情報を見たときは、それが相関を示す調査なのか、原因を確かめた実験なのかを区別する習慣をつけましょう。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
ある変数が変化すると、別の変数も一緒に変化する関係のこと。
相関の強さと方向を、-1から+1までの数値で表したもの。
調べている2つの変数の両方に影響を与え、見かけの相関を生み出す、別の変数のこと。
原因だと考えていた変数が実は結果であり、結果だと考えていた変数のほうが原因になっている可能性のこと。
出典
- Nagata, J. M., Al-Shoaibi, A. A. A., Leong, A. W., Zamora, G., Testa, A., Ganson, K. T., & Baker, F. C. (2024). Screen time and mental health: a prospective analysis of the Adolescent Brain Cognitive Development (ABCD) Study. BMC Public Health, 24, 2686.
- Vavken, P., Culen, G., & Dorotka, R. (2008). Management of Confounding in Controlled Orthopaedic Trials: A Cross-sectional Study. Clinical Orthopaedics and Related Research, 466(4), 985-989.
LESSON 2-3 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. 相関係数が0に近いとき、2つの変数の関係について言えることはどれですか。
- 関係がとても強い
- 関係が弱い
- 必ず原因と結果の関係がある
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正解: 2. 関係が弱い
相関係数は-1から+1の範囲をとり、0に近いほど関係が弱いことを示します。
Q2. コーヒーを飲むこととがんのなりやすさに見られた関連の背景にあった交絡変数は何ですか。
- 喫煙
- 運動不足
- 睡眠時間
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正解: 1. 喫煙
喫煙が、コーヒーを飲む習慣とがんの両方に影響する交絡変数でした。
Q3. スクリーンタイムとうつの症状の関連を調べた研究について、正しい説明はどれですか。
- 統計的に要因を調整していても、逆の因果関係や測っていない要因の可能性は残る
- この研究だけで、スクリーンタイムがうつの症状の原因だと確定した
- 相関が見られた時点で、因果関係も確認されたことになる
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正解: 1. 統計的に要因を調整していても、逆の因果関係や測っていない要因の可能性は残る
研究者自身も、逆の因果関係や測っていない交絡変数の可能性を認めています。
レッスン2-3はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。