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第2章 心理学の研究法 ・ レッスン2-2実験・調査・観察は何が違うのか。心理学の3つの研究法
読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-01
このレッスンの学習目標
- 実験法・調査法・観察法の、それぞれの特徴を説明できる
- 実験法が、原因と結果の関係を調べられる理由を説明できる
- 調査法・観察法からわかることと、わからないことを説明できる
要点
- 心理学の研究法とは、仮説を確かめるためにデータを集める手続きのことで、代表的なものに実験法・調査法・観察法があります。
- 実験法は、研究者が条件(独立変数)を操作し、他の条件をそろえることで、原因と結果の関係を確かめられる方法です。
- 調査法と観察法は、たくさんの人や行動のデータを集められますが、変数を操作しないため、原因と結果の関係までは基本的に確かめられません。
01心理学の3つの研究法
心理学の研究法には、条件を操作する実験法、自己報告でデータを集める調査法、行動をそのまま記録する観察法があります。
心理学の研究は、仮説をどう確かめるかによって、方法が分かれます。代表的なものが、実験法・調査法・観察法の3つです。どの方法を選ぶかで、わかることとわからないことが変わります。
実験法は、研究者が条件を変えて、その影響を測る方法です。調査法は、質問紙などを使って、本人の考えや行動を報告してもらう方法です。観察法は、行動が起きている場面を、そのまま記録する方法です。
この3つに、優劣はありません。知りたいことに応じて、組み合わせて使われます。この講座で学ぶ多くの研究も、この3つのどれかにあたります。
02実験法:条件を操作して、原因と結果を調べる
実験法とは、研究者が操作する条件(独立変数)と、その結果として測る条件(従属変数)を分けて、原因と結果の関係を確かめる方法です。
実験法では、研究者が意図的に変える条件を独立変数と呼びます。その影響を受けて変わるかどうかを測る結果を、従属変数と呼びます。独立変数以外の条件をできるだけそろえることで、結果の違いが独立変数によるものだと言いやすくなります。
例えば、2017年に学術誌Neuropsychologiaに発表された研究では、高齢の参加者46人を、23人ずつの2グループに分けました。一方のグループには、絵を記憶する課題だけをさせました(「全注意」条件)。もう一方には、記憶する課題と同時に計算をさせ、注意を分けさせました(「分割注意」条件)。研究者は、注意の向け方という条件を操作し、その後の記憶の正確さを測りました。
このように、条件を操作して結果の違いを測るのが実験法です。ただし実験は、条件を単純にした状況で行うため、実生活での行動とは違う結果になる場合があります。
03調査法:自己報告でたくさんの人のデータを集める
調査法とは、質問紙などを使って、本人の考え・気持ち・行動を自分で報告してもらい、データを集める方法です。
調査法は、一度に多くの人からデータを集められるのが強みです。2022年に発表された研究では、中国の大学生2186人を対象に、オンラインの質問紙調査を行いました。幸福感を測る質問紙と、健康状態や家族関係についての質問を使ってデータを集めました。
その結果、健康だと答えた学生ほど、幸福感が高いという関連が見られました。親との関係が良いと答えた学生ほど、幸福感が高いという関連も見られました。
ただしこの研究自体が述べているとおり、これは同じ時点のデータを集める調査です。「関連がある」とわかっても、どちらが原因でどちらが結果かは、この方法だけでは決められません。
04観察法:自然な行動をそのまま記録する
観察法とは、行動を変えさせたり指示したりせず、自然な場面での行動をそのまま観察し、記録する方法です。
観察法の例に、2022年に発表された研究があります。新しく作られた、バリアフリーの公園での子どもの遊び方を調べました。研究者は公園を28回観察し、子ども1332人分の行動を記録しました。
その結果、観察された行動の88%が、遊具を使った機能的な遊びでした。約半数は、他の子どもと一緒に遊ぶ様子でした。この研究のように、観察法は、実験室では見えにくい自然な行動の様子を知るのに向いています。
一方で、観察には限界もあります。この研究でも、1人の研究者が観察していたため見落としがあった可能性や、見た目だけではわからない事情(障害の種類など)を記録できなかったことが、研究者自身によって指摘されています。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
研究者が条件(変数)を操作し、原因と結果の関係を確かめる研究法。
質問紙などを使って、本人の考えや行動を自分で報告してもらう研究法。
行動を変えさせたり指示したりせず、自然な場面での行動をそのまま記録する研究法。
実験で、研究者が意図的に変える条件。
実験で、独立変数の影響を受けて変化するかどうかを測る結果。
出典
- Waring, J. D., Dimsdale-Zucker, H. R., Flannery, S., Budson, A. E., & Kensinger, E. A. (2017). Effects of mild cognitive impairment on emotional scene memory. Neuropsychologia, 96, 240-248.
- Jiang, Y., Lu, C., Chen, J., Miao, Y., Li, Y., & Deng, Q. (2022). Happiness in University Students: Personal, Familial, and Social Factors: A Cross-Sectional Questionnaire Survey. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(8), 4713.
- James, M. E., Jianopoulos, E., Ross, T., Buliung, R., & Arbour-Nicitopoulos, K. P. (2022). Children's Usage of Inclusive Playgrounds: A Naturalistic Observation Study of Play. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(20), 13648.
LESSON 2-2 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. 研究者が条件を操作して、原因と結果の関係を調べる研究法はどれですか。
- 調査法
- 観察法
- 実験法
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正解: 3. 実験法
条件(独立変数)を操作し、結果(従属変数)への影響を調べるのが実験法です。
Q2. 質問紙などを使って、本人に自分の考えや行動を報告してもらう研究法を何といいますか。
- 実験法
- 調査法
- 観察法
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正解: 2. 調査法
本人の自己報告でデータを集める研究法が調査法です。
Q3. 調査法や観察法からわかることとして、最も適切なものはどれですか。
- 変数どうしの関連はわかるが、原因と結果の関係は基本的にわからない
- 原因と結果の関係が必ずわかる
- 個人の心を100%正確に言い当てられる
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正解: 1. 変数どうしの関連はわかるが、原因と結果の関係は基本的にわからない
条件を操作しない調査法・観察法では、関連はわかっても、原因と結果の関係までは基本的に確かめられません。
レッスン2-2はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。