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第1章 心理学とは何か ・ レッスン1-2心理学の歴史。哲学から実験の科学へ
読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-01
このレッスンの学習目標
- 心理学が独立した科学として始まった年と出来事を言える
- ジェームズとワトソンが、心理学の対象をどう考えたかを説明できる
- 心理学の考え方が、時代とともにどう変わったかを説明できる
要点
- 実験心理学とは、条件をそろえた実験で心の働きを調べる心理学のことで、心理学はこの方法を得て哲学から独立しました。
- 1879年、ヴントがライプツィヒ大学に世界初の実験心理学の研究所を開き、実験で心を調べる科学として独立しました。
- その後、心の働きを重視するジェームズ、観察できる行動だけを対象にするワトソンの行動主義などを経て、現在は心と行動の両方を扱います。
01哲学の一部だった時代
「心とは何か」という問いは、古くから哲学のテーマでした。19世紀に、それを実験で調べようとする動きが生まれます。
記憶や感情、意識とは何かという問いは、古代ギリシャの時代から哲学者たちが考えてきたテーマです。ただし、その方法は主に思考と議論でした。
19世紀になると、生理学などの自然科学が発展し、感覚や反応の速さを実験で測る研究が行われるようになります。こうした流れの中で、心を実験で調べる学問として心理学が生まれました。
021879年、ヴントの研究所
1879年、ヴィルヘルム・ヴントがライプツィヒ大学に世界初の実験心理学の研究所を開きました。これが心理学の出発点とされています。
ドイツの研究者ヴィルヘルム・ヴント(1832〜1920)は、1879年にライプツィヒで、世界で最初の実験心理学の研究所を開きました。ライプツィヒ大学によると、ヴントの講義や研究を見るために世界中から人が集まり、ライプツィヒは近代心理学の中心地になりました。
ヴントは、刺激に対する反応の時間などを、条件をそろえた実験で測りました。心を「考えるだけ」でなく「測る」対象にしたことが、心理学を独立した科学にした大きな一歩です。
ライプツィヒ大学によると、ヴントの講義は1875年からライプツィヒで始まり、講義や実習、研究所での研究を見るために世界中から人が集まりました。ここで学んだ人たちが自分の国に戻って研究室を開き、実験で心を調べる方法は各国に広がっていきました。
03心を重視するか、行動を重視するか
ジェームズは心の働きを、ワトソンは観察できる行動を、心理学の対象と考えました。現在はその両方を扱います。
アメリカのウィリアム・ジェームズは、1890年の『心理学原理』で、心理学を「心的生活の科学」と定義し、心が日常の中でどう働くかに注目しました。
一方、ジョン・ワトソンは1913年の論文で、心理学は「純粋に客観的な、自然科学の実験的な一分野」であるべきだと主張しました。目に見えない意識ではなく、観察できる行動だけを研究するこの立場を、行動主義と呼びます。
その後、記憶や思考などの心の働きを、実験とデータで調べる研究が再び広がりました。現在の心理学は、行動を測る方法を受け継ぎつつ、心の働きも研究の対象にしています。
ワトソンの行動主義は、心理学を「観察できるものだけで語る」厳密な科学にしようとする試みでした。この考え方は、条件をそろえて行動を測るという研究のやり方として、今の心理学にも受け継がれています。
04歴史から学べること
心理学の歴史は、「何を、どうやって測れば心がわかるのか」をめぐる議論の歴史です。その議論は今も続いています。
ヴントは条件をそろえた実験を、ワトソンは観察できる行動を重視しました。立場は違っても、どちらも「確かめられる方法で心を調べたい」という点では共通しています。
現在の心理学は、行動の測定、質問紙、体の反応の測定など、さまざまな方法を組み合わせて使います。ひとつの方法だけでは心の一部しか見えない、という歴史の教訓が生きているともいえます。
次の第2章では、こうした「確かめる方法」そのものを、実験・調査・観察などの研究法として詳しく学びます。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
条件をそろえた実験によって、心の働きを調べる心理学。
観察できる行動だけを心理学の研究対象とする立場。ワトソンが1913年に提唱した。
刺激が示されてから、反応するまでにかかる時間。
EXAMPLES身近な例で深める
このレッスンの内容を、日常の疑問にあてはめた研究解説記事です。
- 会う回数が増えるほど好きになるのか。実験で確かめられた「単純接触効果」 (しぐさと本音)
QUIZ確認問題
答えを見る前に、自分で選んでみましょう。
Q1. 世界で最初の実験心理学の研究所が開かれたのは、いつ、どこですか。
- 1879年・ライプツィヒ
- 1890年・ハーバード
- 1913年・ロンドン
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正解: 1. 1879年・ライプツィヒ
ヴントが1879年にライプツィヒで開きました。
Q2. 「観察できる行動だけを研究するべきだ」という立場を何と呼びますか。
- 精神分析
- 行動主義
- 構成主義
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正解: 2. 行動主義
ワトソンが1913年の論文で主張した立場で、行動主義と呼ばれます。
Q3. 心理学を「心的生活の科学」と呼んだのは誰ですか。
- ワトソン
- ヴント
- ジェームズ
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正解: 3. ジェームズ
ジェームズが1890年の『心理学原理』の冒頭でそう述べています。
出典
- Universität Leipzig. History of Experimental Psychology in Leipzig. Wilhelm Wundt Institute for Psychology.
- James, W. (1890). The Principles of Psychology, Chapter 1. Classics in the History of Psychology(York University)
- Watson, J. B. (1913). Psychology as the behaviorist views it. Psychological Review, 20, 158-177.