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第1章 心理学とは何か ・ レッスン1-5科学的に考えるとは何か。心理学と疑似科学の違い
読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-04
前回の復習(1分)
本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。
Q1. 生物心理社会モデルが発表されたのは、何年のどの学術誌ですか。
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正解: 1. 1977年・Science誌
1977年、学術誌Scienceに発表された論文「The need for a new medical model」で提唱されました。
Q2. 「観察できる行動だけを研究するべきだ」という立場を何と呼びますか。
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正解: 2. 行動主義
ワトソンが1913年の論文で主張した立場で、行動主義と呼ばれます。
このレッスンの学習目標
- 疑似科学に見られやすい特徴を複数挙げられる
- 科学と疑似科学が「連続体」であるとはどういう意味か説明できる
- 心理学の中にも疑似科学的と指摘される実践があることを知る
要点
- 科学的に考えるとは、主張を鵜呑みにせず、証拠の質や反証の可能性を確かめながら判断する姿勢のことです。
- 疑似科学は、科学のような見た目を持ちながら、否定的な結果への対応や検証の手続きの点で科学と異なります。
- 心理学の中にも、効果が十分確認されないまま使われ続けてきた実践があり、学ぶ人ほど見分ける視点が必要です。
01科学的に考えるとはどういうことか
科学的に考えるとは、主張を鵜呑みにせず、証拠の質や反証の可能性を確かめながら判断する姿勢のことです。
心理学を学び始めると、「科学的に考える」という言葉によく出会います。精神科医のリリエンフェルド(Lilienfeld, 2015)は、疑似科学を「科学のような見た目を持ちながら、実質を欠く主張」と説明しています。見た目だけを科学らしく整えた主張は、専門家でさえ見抜きにくいことがあると指摘されています。
心理学は人の心や行動を扱うため、効果がはっきりしない方法や、根拠の弱い主張が広まりやすい分野でもあります。だからこそ、内容を覚えるだけでなく、「その主張はどのように確かめられたのか」を考える習慣が欠かせません。
02疑似科学に多く見られる特徴
心理学者のリーとハンスリー(2015)は、疑似科学的な実践に多く見られる特徴を6つにまとめています。
カナダの心理学者リーとハンスリー(Lee & Hunsley, 2015)は、科学と疑似科学は白黒はっきり分かれるものではなく、どちらの特徴をどれだけ持つかという「連続体」の上にあると述べています。そのうえで、疑似科学的な実践に多く見られる特徴を6つ挙げています。
具体的には、(1)否定的な結果が出るたびに後付けの言い訳(仮説)を増やして理論を守る、(2)同じ分野の専門家による査読を避ける、(3)都合の良い証拠ばかりを集め反証を軽視する、(4)基礎研究や関連分野の知見と結びついていない、(5)個別の体験談(逸話)を科学的データと同じように扱う、(6)効果を疑う側に反証の責任を押しつける、の6点です。
これらの特徴は1つでもあれば疑似科学だと決めつけるものではなく、当てはまる数が多いほど、その実践が疑似科学に近いと考えるための目安だと説明されています。
03心理学の中にもある疑似科学的な実践
心理学や精神医学の中にも、効果が十分確認されないまま使われてきた実践の例があります。
リリエンフェルド(2015)は、心理学や精神医学の中で疑似科学的と指摘される実践の例として、不安やうつ病を調べるためにロールシャッハ・インクブロット・テストを用いること、観察できない「エネルギー場の乱れ」を整えるとされる思考場療法(Thought Field Therapy)、自閉スペクトラム症の子どもに対する促進コミュニケーション(facilitated communication)などを挙げています。
こうした実践の多くは、支持者の体験談や「効いた気がする」という印象は語られても、対照群を置いた研究で効果が繰り返し確認されているわけではありません。心理学の歴史を振り返ると、前頭葉ロボトミーのように、当時は効果があると信じられていた治療が、後に見直された例もあります。
04この視点が、心理学を学ぶうえでなぜ必要か
結論だけでなく、どのように確かめられたかを見る習慣が、根拠の弱い情報に振り回されないために役立ちます。
心理学を独学していると、SNSや本で「〇〇をするだけで心が変わる」といった主張に出会うことがあります。そうした主張に出会ったとき、「この効果はどのような方法で確かめられたのか」「反証となる研究はないのか」と考える習慣があると、根拠の弱い情報に振り回されにくくなります。
この講座でこれから学ぶ研究法(第2章)の考え方も、まさにこの「科学的に考える」ための道具です。1つの体験談やエピソードだけでなく、繰り返し確かめられた結果を重視する姿勢を、ここで身につけておきましょう。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
科学のような見た目を持ちながら、反証を避けたり検証の手続きを欠いたりする主張や実践。
研究成果を公表する前に、同じ分野の専門家が内容を検証する仕組み。
ある主張が正しいことを示す責任は、疑う側ではなく主張する側にあるという考え方。
個人の体験談や事例のこと。対照群を用いた研究結果に比べ、効果を裏づける証拠としては弱いとされる。
出典
LESSON 1-5 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。
Q1. Lee & Hunsley (2015) が指摘する、疑似科学に見られやすい特徴はどれか。
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正解: 2. 否定的な結果が出るたびに、後付けの言い訳(仮説)を増やして理論を守ろうとする
Lee & Hunsley (2015) は、否定的な結果を説明するための事後仮説の濫用を、疑似科学に多い特徴の1つに挙げています。
Q2. Lilienfeld (2015) が、心理学・精神医学における疑似科学的実践の例として挙げているのはどれか。
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正解: 2. 不安やうつ病を調べるためにロールシャッハ・インクブロット・テストを用いること
Lilienfeld (2015) は、ロールシャッハ・インクブロット・テストで不安やうつ病を検出することを、疑似科学的と指摘される実践の例に挙げています。
Q3. 科学と疑似科学の関係について、Lee & Hunsley (2015) の説明として正しいのはどれか。
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正解: 2. 科学と疑似科学は連続体であり、疑似科学的な特徴が多いほど疑似科学に近いと考えられる
Lee & Hunsley (2015) は、科学と疑似科学は連続体の上にあり、疑似科学的な特徴に当てはまる数が多いほど疑似科学に近いと述べています。
レッスン1-5はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。