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第10章 感情と動機づけ ・ レッスン10-5内発的動機づけと外発的動機づけ。アンダーマイニング効果とは何か
読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-02
このレッスンの学習目標
- 内発的動機づけと外発的動機づけの違いを説明できる
- アンダーマイニング効果とは何かを、研究にもとづいて説明できる
- どのような報酬がアンダーマイニング効果を引き起こしやすいかを説明できる
要点
- 内発的動機づけとは、活動そのものを目的として行う動機づけのことであり、外発的動機づけとは、報酬など、活動とは別の結果を目的として行う動機づけのことです。
- アンダーマイニング効果とは、もともと楽しんで行っていた活動に外部からの報酬を与えると、その活動への内発的動機づけがかえって下がる現象のことです。
- 研究では、報酬が、目に見える形で、あらかじめ約束され、成果とゆるくしか結びついていないときに、この効果が起こりやすいことが示されています。
01内発的動機づけと外発的動機づけ
内発的動機づけとは活動そのものを目的として行う動機づけのことで、外発的動機づけとは報酬など別の結果を目的として行う動機づけのことです。
2022年に学術誌Psychological Medicineに発表されたモリス(Morris)らの論文によると、内発的動機づけとは、活動そのものが目的になっている状態、つまり「活動そのものが結果だと感じられる」状態のことだとされています。
同じ論文によると、外発的動機づけは、目に見える、活動とは別の外的な刺激や結果によって引き起こされる動機づけのことです。たとえば、絵を描くこと自体が楽しくて描くのは内発的動機づけ、賞品がほしくて描くのは外発的動機づけにあたります。
02アンダーマイニング効果とは何か
アンダーマイニング効果とは、もともと楽しんで行っていた活動に外部からの報酬を与えると、その活動への内発的動機づけがかえって下がる現象のことです。
モリスらの論文によると、アンダーマイニング効果とは、外部からの報酬が、もともとあった内発的動機づけを下げてしまう現象のことです。この論文は、心理学者デシが1971年に発表した研究を、この効果を示した研究として挙げています。
同じ論文によると、この効果が起こる理由の1つとして、外部からの報酬があることで、その行動を自分の内側から選んでいるという感覚(統制の所在)が、内側から外側に移ってしまうことが考えられています。
同じ論文は、人には能力・達成・自律性への欲求があり、これが内発的動機づけを支えているとする自己決定理論(デシとライアンによる理論)にも触れています。
03どんな報酬でも起こるわけではない
アンダーマイニング効果は、報酬が目に見える形で、あらかじめ約束され、成果とゆるくしか結びついていないときに起こりやすいことが示されています。
2001年に学術誌The Behavior Analystに発表されたキャメロン(Cameron)らの論文によると、報酬が、目に見える形で、あらかじめ約束されていて、成果とのつながりがゆるい場合に、もともと興味のあった課題への悪い影響が見られるとされています。
同じ論文によると、報酬が成果の水準と結びついている場合には、内発的動機づけの指標は、報酬のない対照群より高くなるか、対照群と変わらなかったとされています。
同じ論文は、興味のある課題について、言葉によるポジティブな報酬(褒め言葉など)は、自由に取り組む時間や、本人が感じる興味の両方に、プラスの効果を持つとも述べています。
04まとめ。報酬の使い方が意欲を左右する
報酬は、使い方によって、もともとある意欲を下げることも、下げないこともあるため、何に対して、どのように与えるかが重要だと考えられています。
キャメロンらの論文は、報酬が内発的動機づけに与える影響について、「報酬は一律に悪い影響を与える」という単純な見方には同意せず、報酬の与え方の条件によって結果が変わることを示す立場を取っています。
もともと楽しんでいる活動に、目に見える報酬をあらかじめ約束するときは注意が必要ですが、成果に応じた報酬や、言葉による肯定的なフィードバックは、意欲を損なわない、あるいは高める可能性があることが、これらの研究から読み取れます。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
内発的動機づけとは、活動そのものを目的として行う動機づけのことです。
外発的動機づけとは、報酬など、活動とは別の結果を目的として行う動機づけのことです。
アンダーマイニング効果とは、もともと楽しんで行っていた活動に外部からの報酬を与えると、その活動への内発的動機づけがかえって下がる現象のことです。
出典
- Morris, L. S., Grehl, M. M., Rutter, S. B., Mehta, M., & Westwater, M. L. (2022). On what motivates us: a detailed review of intrinsic v. extrinsic motivation. Psychological Medicine, 52(10), 1801-1816.
- Cameron, J., Banko, K. M., & Pierce, W. D. (2001). Pervasive negative effects of rewards on intrinsic motivation: The myth continues. The Behavior Analyst, 24(1), 1-44.
LESSON 10-5 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. モリスらの論文による、内発的動機づけの説明として正しいものはどれですか。
- 活動そのものが結果だと感じられる、活動そのものを目的とした動機づけ
- 報酬を得ることだけを目的とした動機づけ
- 他人からの評価を避けるための動機づけ
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正解: 1. 活動そのものが結果だと感じられる、活動そのものを目的とした動機づけ
内発的動機づけとは、活動そのものが目的になっている状態、つまり活動そのものが結果だと感じられる状態のことです。
Q2. アンダーマイニング効果について、正しい説明はどれですか。
- もともと楽しんでいた活動に外部からの報酬を与えると、内発的動機づけがかえって下がる現象
- 外部からの報酬は、どんな場合でも内発的動機づけを必ず高める現象
- 内発的動機づけと外発的動機づけは、まったく関係しない現象
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正解: 1. もともと楽しんでいた活動に外部からの報酬を与えると、内発的動機づけがかえって下がる現象
アンダーマイニング効果とは、もともと楽しんで行っていた活動に外部からの報酬を与えると、内発的動機づけがかえって下がる現象です。
Q3. キャメロンらの論文によると、報酬が内発的動機づけを下げにくいのはどのような場合ですか。
- 報酬が、成果の水準としっかり結びついている場合
- 報酬が、目に見える形で、あらかじめ約束されている場合
- 報酬が、成果とはゆるくしか結びついていない場合
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正解: 1. 報酬が、成果の水準としっかり結びついている場合
報酬が成果の水準と結びついている場合には、内発的動機づけの指標は、対照群より高くなるか、対照群と変わらなかったとされています。
レッスン10-5はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。