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第13章 仕事と組織の心理学 ・ レッスン13-4リーダーシップはどう研究されてきたか
読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-02
このレッスンの学習目標
- リーダーシップ研究が、特性論から行動論、そして変革型リーダーシップへとどのように発展してきたかを説明できる
- 変革型リーダーシップとは何かを、バーンズとバスの理論にもとづいて説明できる
- 変革型リーダーシップが、部下の職務満足や職務成績とどの程度関連しているかを、メタ分析のデータで説明できる
要点
- 変革型リーダーシップとは、リーダーが部下を励まし、期待以上の成果を引き出すような関わり方のことです。
- リーダーシップ研究は、「リーダーは生まれつき特定の資質を持つ」とする理論から、リーダーの行動に注目する理論を経て、バーンズ(1978)とバス(1985)が提唱した変革型リーダーシップの考え方へと発展してきました。
- 2022年にFrontiers in Psychologyに発表された、32件の研究・6,746人分のデータを統合したメタ分析によると、変革型リーダーシップは、部下の職務満足(相関係数0.42)やOCB(0.30)、離職意図(-0.31)と関連していました。
01リーダーシップ研究は、どこから始まったか
リーダーシップ研究は、「リーダーは生まれつき特定の資質を持つ」とするGreat Man理論から始まりました。
2024年にJournal of Postgraduate Medicineに発表された、シン(Singh)らの論文によると、もっとも初期のリーダーシップ理論の一つが「Great Man理論」です。この理論は、リーダーは生まれつき特定の資質を備えている、という考え方に立っています。
同論文は、1948年にストッグディル(Stogdill)が発表した特性論についても紹介しています。この理論では、自信・決断力・誠実さ・知性といった個人の特性を持つ人ほど、効果的なリーダーになりやすいとされました。
02行動論へ。リーダーの「特性」から「行動」へ
行動論は、リーダーが生まれつき持つ特性ではなく、実際の行動や振る舞いに注目する立場です。
シンらの論文によると、行動論(Behavioral theory)は、リーダーに生まれつき備わった特性に注目する立場から、リーダーの行動や振る舞いを調べる立場へと視点を移した理論です。
この視点の転換によって、リーダーシップは「生まれつきの資質」だけでなく、学んだり訓練したりすることで変えられる「行動」としても研究されるようになりました。
03変革型リーダーシップとは何か
変革型リーダーシップとは、リーダーが部下を励まし、期待以上の成果を引き出すような関わり方のことです。
シンらの論文によると、バーンズ(Burns)は1978年の著書で、交換を中心に部下の現在のニーズを満たそうとする「交流型リーダー」と、部下のニーズを高め、大きな変化を促そうとする「変革型リーダー」を区別しました。
さらに、バス(Bass)は1985年に、バーンズの理論を発展させ、組織の中で変革型リーダーシップがどのように働くかを、より詳しく説明するモデルを提案しました。変革型リーダーシップは、リーダーが部下を励まし、期待を超える成果を引き出す関わり方として説明されています。
04変革型リーダーシップは、どの程度効果があるのか
32件の研究を統合したメタ分析によると、変革型リーダーシップは、部下の職務満足やOCB、離職意図の低さと関連していました。
2022年にFrontiers in Psychologyに発表された、フラー(Fuller)・バジャバ(Bajaba)・バジャバの論文は、変革型リーダーシップに関する32件の研究、6,746人分のデータを統合したメタ分析です。
その結果、変革型リーダーシップと部下の職務満足との相関係数は0.42、組織に自発的に貢献する行動(OCB)との相関係数は0.30でした。一方、離職意図との相関係数は-0.31で、変革型リーダーシップのもとで働く人ほど、離職を考えにくい傾向が見られました。職務成績との相関係数は0.25でした。
ここまで見たように、リーダーシップ研究は、「リーダーとはどういう人か」という問いから、「リーダーは何をし、部下にどう影響するか」という問いへと発展してきました。これで第13章「仕事と組織の心理学」は終わりです。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
変革型リーダーシップとは、リーダーが部下を励まし、期待以上の成果を引き出すような関わり方のことです。
特性論とは、自信・決断力・誠実さ・知性といった個人の特性を持つ人ほど、効果的なリーダーになりやすいという考え方のことです。
組織市民行動とは、職務として決められていないにもかかわらず、組織のために自発的におこなう行動のことです。
出典
- Singh, P. K., Singh, S., Kumari, V., & Tiwari, M. (2024). Navigating healthcare leadership: Theories, challenges, and practical insights for the future. Journal of Postgraduate Medicine, 70(4), 232-241.
- Fuller, B., Bajaba, S., & Bajaba, A. (2022). Enhancing and Extending the Meta-Analytic Comparison of Newer Genre Leadership Forms. Frontiers in Psychology.
LESSON 13-4 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. Great Man理論の説明として正しいものはどれですか。
- リーダーは生まれつき特定の資質を持っているという考え方
- リーダーの行動や振る舞いに注目する考え方
- 部下との交換関係だけでリーダーシップを説明する考え方
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正解: 1. リーダーは生まれつき特定の資質を持っているという考え方
Great Man理論とは、リーダーは生まれつき特定の資質を備えているという、もっとも初期のリーダーシップ理論の一つです。
Q2. バーンズ(1978)が区別した2つのリーダーのうち、部下のニーズを高め、大きな変化を促そうとするのはどちらですか。
- 変革型リーダー
- 交流型リーダー
- Great Man理論のリーダー
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正解: 1. 変革型リーダー
バーンズは、部下の現在のニーズを満たそうとする「交流型リーダー」と、ニーズを高め大きな変化を促そうとする「変革型リーダー」を区別しました。
Q3. フラーらの2022年のメタ分析によると、変革型リーダーシップと部下の離職意図の関連として正しいものはどれですか。
- 相関係数-0.31で、離職意図は低くなる関連
- 相関係数0.31で、離職意図は高くなる関連
- 関連はまったく見られなかった
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正解: 1. 相関係数-0.31で、離職意図は低くなる関連
同メタ分析によると、変革型リーダーシップと離職意図の相関係数は-0.31で、変革型リーダーシップのもとで働く人ほど離職を考えにくい傾向が見られました。
レッスン13-4はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。