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第6章 学習 ・ レッスン6-4観察学習とは何か。バンデューラのモデリング実験
読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-02
このレッスンの学習目標
- 観察学習とは何かを、古典的条件づけ・オペラント条件づけとの違いとともに説明できる
- バンデューラのボボ人形実験の手順と結果を説明できる
- 代理強化とは何かを説明できる
要点
- 観察学習とは、他人の行動を見るだけで、自分も新しい行動を身につけることです。
- 心理学者バンデューラは、大人が「ボボ人形」に攻撃的に振る舞う様子を見た子どもが、同じような行動をまねすることを実験で示しました。
- モデルが報酬や罰を受ける様子を見るだけでも、観察している人の行動が変化することがあり、これは代理強化と呼ばれます。
01観察学習とは何か
観察学習とは、他人の行動を見るだけで、自分も新しい行動を身につけることです。
2018年に学術誌Current Opinion in Neurobiologyに発表された論文によると、観察学習とは、他の個体の経験を見ることによって、自分の行動を新しく身につけたり、調整したりする力のことです。
これまでのレッスンで見てきた古典的条件づけやオペラント条件づけは、自分自身が刺激を受けたり、行動の結果を受けたりすることで学習が起こる仕組みでした。観察学習は、自分が直接その結果を経験しなくても、他人を見るだけで学習が起こる点が違います。
2022年に学術誌Frontiers in Psychologyに発表された論文によると、心理学者アルバート・バンデューラ(1925〜2021年、スタンフォード大学教授)は、この観察学習の仕組みを示す実験を行い、行動主義の考え方と、認知を重視する学習理論とを橋渡しする理論を作りました。
02バンデューラのボボ人形実験
バンデューラの実験では、大人が「ボボ人形」に攻撃的に振る舞うのを見た3〜6歳の子どもたちが、同じような攻撃行動をまねしました。
同じ2022年の論文によると、バンデューラの実験では、3〜6歳の子どもたちが、大人のモデルが、大きな空気の入った「ボボ人形」に対して、約10分間、言葉や体で攻撃的に振る舞う様子を観察しました。
その後、子どもたちは、魅力的なおもちゃで遊ばせてもらったあとに、それを他の子どもにあげると言われるなど、いらだちを感じる場面を経験してから、別の部屋でボボ人形と一緒に過ごしました。
モデルの攻撃行動を見た子どもたちは、ボボ人形に対して攻撃的に振る舞うようになりました。これは、罰や報酬を直接受けなくても、見ているだけで新しい行動が身につくことを示しています。
03モデルが報酬を受けるか罰を受けるか。代理強化
バンデューラの別の実験では、攻撃的なモデルが罰を受けるのを見た子どもは、攻撃行動を見せる割合が減りました。
同じ論文によると、1965年に行われた別の実験では、モデルが自分の攻撃行動に対して罰を受けるところを見た子どもは、攻撃行動を見せる割合が減りました。反対に、モデルが報酬を受けたり、何も起こらなかったりした場合は、子どもの攻撃行動が増えました。
このように、モデル自身が受けた結果を見ることで学習が起こる現象は、代理強化と呼ばれています。自分が直接経験しなくても、他人の結果を見るだけで、行動の増減が起こるのです。
04観察学習からわかること
観察学習は、自分が直接報酬や罰を受けなくても、他人を観察するだけで新しい行動を身につけられることを示しています。
2018年の論文によると、バンデューラのボボ人形実験は、自分自身への報酬や罰がなくても、観察だけで新しい行動を習得できることを示した、重要な研究でした。
この章では、古典的条件づけ、オペラント条件づけ、観察学習という、3つの基本的な学習の仕組みを見てきました。次のレッスンでは、努力しても結果が変わらない経験が続くと何が起こるかを示す「学習性無力感」について学びます。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
観察学習とは、他の個体の経験を見ることによって、自分の行動を新しく身につけたり、調整したりすることです。
モデリングとは、観察の対象となる他人(モデル)の行動を見て、自分の行動を変えることです。
代理強化とは、自分ではなく、観察しているモデルが報酬や罰を受けることによって、観察者の行動が変化することです。
出典
- Galanaki, E., & Malafantis, K. D. (2022). Albert Bandura's experiments on aggression modeling in children: A psychoanalytic critique. Frontiers in Psychology, 13, 988877.
- Carcea, I., & Froemke, R. C. (2018). Biological mechanisms for observational learning. Current Opinion in Neurobiology, 54, 178-185.
LESSON 6-4 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. バンデューラの実験で、子どもたちが観察したのは、大人がどんなことをする様子でしたか。
- ボボ人形に攻撃的に振る舞う様子
- 本を読む様子
- パズルを解く様子
答えを見る
正解: 1. ボボ人形に攻撃的に振る舞う様子
子どもたちは、大人がボボ人形に対して攻撃的に振る舞う様子を観察しました。
Q2. 代理強化とは何ですか。
- 自分が直接受けた報酬によって行動が変わること
- 観察しているモデルが受けた報酬や罰によって、観察者の行動が変わること
- 刺激と刺激を対にして反応を学習すること
答えを見る
正解: 2. 観察しているモデルが受けた報酬や罰によって、観察者の行動が変わること
代理強化は、モデルが受けた結果を見ることで、観察者自身の行動が変化する現象です。
Q3. モデルが攻撃行動によって罰を受けるのを見た子どもには、どんな変化が見られましたか。
- 攻撃行動を見せる割合が増えた
- 攻撃行動を見せる割合が減った
- 何も変化がなかった
答えを見る
正解: 2. 攻撃行動を見せる割合が減った
モデルが罰を受けるのを見た子どもは、攻撃行動を見せる割合が減りました。
レッスン6-4はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。