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第6章 学習 ・ レッスン6-3強化と罰の違い。行動を増やす仕組みと減らす仕組み
読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-02
このレッスンの学習目標
- 強化と罰の違いを説明できる
- 正の強化・負の強化・正の罰・負の罰の4つを、具体例とともに説明できる
- 罰を使うことにどんな問題があるかを、研究結果から説明できる
要点
- 強化とは、行動の後に起こることで、その行動が今後起こりやすくなる働きのことです。罰とは、その逆に、行動が起こりにくくなる働きのことです。
- 強化と罰はそれぞれ、刺激を「与える(正)」か「取り除く(負)」かによって2種類に分けられ、全体で4つの組み合わせがあります。
- 研究では、不快な刺激を使った訓練は、報酬を使った訓練に比べて、ストレスの兆候が多く見られることが示されています。
01強化と罰とは何か
強化とは、行動の後に起こることで、その行動が今後起こりやすくなる働きのことです。罰とは、その逆に、行動が起こりにくくなる働きのことです。
オペラント条件づけでは、行動の後に何が起こるかによって、その行動が今後どのくらい起こりやすくなるかが変わります。行動が増える方向に働くものを強化、減る方向に働くものを罰と呼びます。
2021年に学術誌PLOS ONEに発表された論文の分類によると、強化と罰は、さらに「刺激を与える(正)」か「刺激を取り除く(負)」かによって、それぞれ2種類に分けられます。つまり全体では、「正の強化」「負の強化」「正の罰」「負の罰」という4つの組み合わせがあり、どの行動も、このいずれかに当てはめて考えることができます。
02正の強化と負の強化。刺激を「与える」か「取り除く」か
正の強化とは好ましい刺激を与えて行動を増やすこと、負の強化とは不快な刺激を取り除いて行動を増やすことです。
同じ論文の分類によると、正の強化とは、望ましい行動のあとに、好ましい刺激を与えることです。勉強したあとにほめられたり、仕事の成果に報酬が出たりすることで、その行動が今後も続きやすくなります。
負の強化とは、望ましい行動が起きたときに、不快な刺激を取り除くことです。宿題を終えたら、それまでの口うるさい声かけが止まる、というように、不快なものがなくなることで、その行動が増えます。
どちらも、行動が「増える」という結果は同じですが、好ましい刺激を与えるか、不快な刺激を取り除くかという点が違います。
03正の罰と負の罰
正の罰とは不快な刺激を与えて行動を減らすこと、負の罰とは好ましい刺激を取り除いて行動を減らすことです。
正の罰とは、望ましくない行動のあとに、不快な刺激を与えることです。ルール違反をした子どもに注意をする、というのがこれにあたります。
負の罰とは、望ましくない行動のあとに、好ましい刺激を取り除くことです。約束を破ったために、スマートフォンを一定時間取り上げる、というのがこれにあたります。
どちらも、行動が「減る」という結果は同じですが、不快な刺激を与えるか、好ましい刺激を取り除くかという点が違います。
04罰を使うことの問題点
研究では、不快な刺激を使った訓練は、報酬を使った訓練に比べて、ストレスの兆候が多く見られることが示されています。
罰は行動を一時的に減らすことができますが、使い方によって望ましくない影響が出ることも、研究で示されています。
2020年に学術誌PLOS ONEに発表された、犬の訓練方法を比較した研究では、合計92頭の犬を、報酬を使う群(42頭)・報酬と嫌悪刺激を混ぜて使う群(22頭)・嫌悪刺激だけを使う群(28頭)に分けて比較しました。
その結果、嫌悪刺激だけを使った群は、報酬を使った群に比べて、あくび・くちびるをなめる・体をそらすといったストレスのサインを頻繁に示し、訓練後のストレスホルモン(コルチゾール)の増加量も大きくなりました。
この結果は犬の訓練についての研究ですが、罰を使うことが、学習の対象にストレスという副作用をもたらす可能性があることを示しています。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
強化とは、行動の後に起こることで、その行動が今後起こりやすくなる働きのことです。
罰とは、行動の後に起こることで、その行動が今後起こりにくくなる働きのことです。
正の強化とは、望ましい行動のあとに、好ましい刺激を与えることで、その行動を増やすことです。
負の強化とは、望ましい行動のあとに、不快な刺激を取り除くことで、その行動を増やすことです。
正の罰とは、望ましくない行動のあとに、不快な刺激を与えることで、その行動を減らすことです。
負の罰とは、望ましくない行動のあとに、好ましい刺激を取り除くことで、その行動を減らすことです。
出典
- Vieira de Castro, A. C., Araújo, Â., Fonseca, A., & Olsson, I. A. S. (2021). Improving dog training methods: Efficacy and efficiency of reward and mixed training methods. PLOS ONE, 16(2), e0247321.
- Vieira de Castro, A. C., Fuchs, D., Morello, G. M., Pastur, S., de Sousa, L., & Olsson, I. A. S. (2020). Does training method matter? Evidence for the negative impact of aversive-based methods on companion dog welfare. PLOS ONE, 15(12), e0225023.
- Staddon, J. E. R., & Cerutti, D. T. (2002). Operant conditioning. Annual Review of Psychology, 54, 115-144.
LESSON 6-3 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. 「宿題を終えたら、口うるさい声かけが止まる」という例は、どれにあたりますか。
- 正の強化
- 負の強化
- 正の罰
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正解: 2. 負の強化
不快な刺激(声かけ)が取り除かれることで行動が増えるのは、負の強化です。
Q2. 「ルール違反をした子どもに注意をする」という例は、どれにあたりますか。
- 正の罰
- 負の罰
- 正の強化
答えを見る
正解: 1. 正の罰
不快な刺激(注意)を与えることで行動を減らすのは、正の罰です。
Q3. 犬の訓練方法を比較した研究で、嫌悪刺激だけを使った群に見られた特徴はどれですか。
- 報酬を使った群よりストレスのサインが少なかった
- 報酬を使った群よりストレスのサインが多く、コルチゾールの増加も大きかった
- どの群にも差がなかった
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正解: 2. 報酬を使った群よりストレスのサインが多く、コルチゾールの増加も大きかった
嫌悪刺激だけを使った群は、ストレスのサインが多く、訓練後のコルチゾール増加も大きいことが示されました。
レッスン6-3はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。