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脳と心神経可塑性とは
英語: Neuroplasticity ・ 更新日 2026-10-03
神経可塑性とは、脳の構造や働きが、経験や訓練によって変化する性質のことです。
01神経可塑性をくわしく
神経可塑性とは、脳が一度できあがったら変化しない固定の器官ではなく、経験や訓練に応じてその構造や働きを変化させる性質を指す言葉です。近年の脳画像技術の発達により、特定の運動や技能を繰り返すことで、脳の特定の部位に変化が起こることが数多く報告されています。
2024年に発表された研究では、サッカー選手36人と非選手41人のMRI画像を比較したところ、選手では小脳・視床・一次視覚野(鳥距溝周辺)で灰白質の体積が大きいことが示されました。訓練年数は1年から15年までさまざまで、統計的な分析からは視床の変化が先に起こり、視覚野、小脳の順に変化が波及していく可能性が示唆されています。ただしこの研究は一時点での比較(横断研究)であるため、訓練が原因で脳が変化したのか、もともと脳の構造が違う人が競技を続けやすいのかを完全には区別できません。
訓練によって脳が変化する過程をより直接に調べた研究もあります。2024年の別の研究では、健康な男性にリズムゲームを4週間(合計960分)練習してもらい、7日目・14日目・28日目・84日目に脳画像を撮影しました。その結果、運動に関わる神経線維の変化は28日目にピークを迎え、その後トレーニングを終えた84日目までにはほとんど元の状態に戻っていました。鍛えた手足の種類によって、変化が起こる脳の部位も異なっていました。
これらの研究からわかるのは、神経可塑性は「脳が何歳になっても無限に、そして一方向に変化し続ける」という単純な現象ではないという点です。変化には期間があり、訓練をやめれば元に戻ることもあります。脳の変化を実際の技能向上や生活の改善と結びつけるには、行動面のデータも合わせて調べる必要があると研究者たちも指摘しています。
02身近な例
何年も楽器を練習しているうちに指先の感覚が鋭くなったり、スポーツを続けるうちに体の使い方がうまくなったりするのも、神経可塑性の表れだと考えられています。
03講座で学ぶ
神経可塑性は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。
FAQよくある質問
神経可塑性とは何ですか?
神経可塑性とは、脳の構造や働きが、経験や訓練によって変化する性質のことです。訓練を重ねた人の脳を調べると、関連する部位の灰白質の体積や神経線維の状態に変化が見られることがあります。
神経可塑性があれば、何歳からでも脳は自由に変えられますか?
いいえ。研究では、訓練をやめると数週間で変化の多くが元に戻ることも示されています。神経可塑性は訓練中に生じる一時的な変化を含み、年齢や訓練内容によって変化の程度も異なります。
脳の変化が見られれば、能力も必ず向上していますか?
必ずしもそうとは限りません。脳画像上の変化と、実際の技能や行動の向上が一致するかどうかは、別に確認する必要があるとされています。
出典
- Li, J., Cao, Y., Huang, M., Qin, Z., & Lang, J. (2024). Progressive increase of brain gray matter volume in individuals with regular soccer training. Scientific Reports, 14, 7023.
- Emmenegger, T., David, G., Mohammadi, S., Ziegler, G., Callaghan, M. F., Thompson, A., Friston, K. J., Weiskopf, N., Killeen, T., & Freund, P. (2024). Temporal dynamics of white and gray matter plasticity during motor skill acquisition: a comparative diffusion tensor imaging and multiparametric mapping analysis. Cerebral Cortex, 34(8), bhae344.