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第2章 心理学の研究法 ・ レッスン2-6

心理学の測定における信頼性と妥当性とは何か

読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-09

前回の復習(1分)

本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。

レッスン2-5から

Q1. アメリカでベルモント・レポートが作られる大きなきっかけとなった出来事はどれですか。

答えを見る

正解: 1. タスキギー梅毒研究が発覚したこと
梅毒にかかった人々を同意なく長期間治療しなかったタスキギー梅毒研究の発覚が、大きなきっかけになりました。

レッスン2-3から

Q2. スクリーンタイムとうつの症状の関連を調べた研究について、正しい説明はどれですか。

答えを見る

正解: 1. 統計的に要因を調整していても、逆の因果関係や測っていない要因の可能性は残る
研究者自身も、逆の因果関係や測っていない交絡変数の可能性を認めています。

このレッスンの学習目標

要点

  1. 信頼性とは、同じ測定を繰り返したときに、結果がどれだけ安定して一致するかを示す指標のことです。
  2. 妥当性とは、測定が測りたいものを実際にどれだけ正しく捉えているかを示す指標で、信頼性とは別の観点から測定を評価します。
  3. 信頼性は妥当な測定であるための前提条件とされていますが、それだけで妥当性が保証されるわけではなく、両方を確認する必要があります。

01信頼性とは何か

信頼性とは、同じ測定を繰り返したときに、結果がどれだけ安定して一致するかを示す指標です。

心理学の検査や質問紙は、人の心の状態や特性を、点数という形で測ろうとします。このとき、同じ人に同じ検査を行えば、ほぼ同じ点数が得られるかどうかを示す指標が信頼性です。結果が安定して一致するほど、信頼性が高いとされます。

信頼性のうち、1つの検査の中にある複数の項目が、どれだけ同じ傾向を測っているかを示す指標を内的一貫性と呼びます。2016年にAmerican Journal of Public Health誌に発表されたモレラとストークスの論文によると、2011年から2013年の同誌に掲載された、信頼性を報告した論文119件のうち105件(88.2%)が、内的一貫性を表すα係数(クロンバックのアルファ)という数値を使っていました。

ただし同じ論文は、α係数の使い方について誤解が広まっていることも指摘しています。α係数は項目間の平均的な共分散から計算される値であり、その検査が1つのまとまった特性だけを測っているかどうか(単一次元性)を示す指標ではないという点です。前提が満たされていない場合、α係数を内的一貫性の適切な指標として使うことはできないとされています。

02妥当性とは何か

妥当性とは、測定が測りたいものを実際にどれだけ正しく捉えているかを示す指標です。

妥当性とは、ある検査や質問紙が、測定しようとしている心理的な特性や概念を、実際にどれだけ正しく捉えているかを示す考え方です。2026年に学術誌PLoS Oneに発表されたグースらの論文では、測定しようとしている構成概念(目に見えない心理的な特性)を、検査の項目が正しく捉えているかを示す構成概念妥当性が、中心的な検討事項として位置づけられています。

同じ論文は、構成概念妥当性を支える証拠として、似た概念を測る別の検査と相関する収束的妥当性、異なる概念を測る検査とは相関しない弁別的妥当性、将来の行動や結果を予測できる予測的妥当性、項目が想定どおりのまとまり(因子)に分かれる因子的妥当性などを挙げています。

さらに、ある集団や状況で測っていた内容が、別の集団や状況でも同じように測れているかを確認する、測定不変性という検討も扱われています。これらはいずれも、検査が「測りたいものを正しく測れているか」を、複数の角度から確かめるための方法です。

03信頼性と妥当性の関係

信頼性は妥当な測定であるための前提条件とされていますが、それだけでは妥当性は保証されません。

グースらの2026年の論文は、「信頼性は多くの場合、妥当な測定であるための前提条件である」と述べています。回答が測定ごとに大きくばらつく(信頼性が低い)検査では、そもそも何を測っているのかが安定しないため、妥当性を検討する土台が整っていないことになります。

一方で、同じ論文は、信頼性の高さだけでは、項目や得点の解釈が、測ろうとしている構成概念とどう結びついているかを考えずに、意味のある解釈はできないと述べています。つまり信頼性が高くても、測っている内容が目的の概念とずれていれば、妥当性は低いままです。

体重計の例で考えると分かりやすくなります。同じ人を何度測っても同じ値が出る体重計は信頼性が高いといえますが、その体重計が実際には身長を測る目盛りになっていたとしたら、体重という測りたいものを正しく捉えていないため妥当性は低いことになります。信頼性と妥当性は、どちらか一方だけでなく、両方を確認する必要があります。

04信頼性と妥当性を知っておく意味

心理検査やアンケートの結果を読むときは、信頼性と妥当性の両方が確認されているかを意識することが役立ちます。

ニュースやSNSで、「〇〇診断」「心理テスト」といった形で、心の特性を測るとされる質問に出会うことがあります。こうした測定が、学術的にどれだけ検討されたものかは、信頼性と妥当性という2つの基準で評価されます。

次の章から学ぶ心理学の様々な研究でも、知能・パーソナリティ・ストレスなど、目に見えない特性を測定した結果が扱われます。その結果を読むときは、使われた検査に信頼性と妥当性の両方の検討があるかを意識すると、研究の結果をより正確に受け止めやすくなります。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。

信頼性Reliability

同じ測定を繰り返したときに、結果がどれだけ安定して一致するかを示す指標のこと。

妥当性Validity

測定が測りたいものを実際にどれだけ正しく捉えているかを示す指標のこと。

内的一貫性Internal consistency

1つの検査の中にある複数の項目が、どれだけ同じ傾向を測っているかを示す信頼性の指標のこと。

構成概念妥当性Construct validity

検査の項目が、測定しようとしている目に見えない心理的な特性(構成概念)を正しく捉えているかを示す妥当性のこと。

測定不変性Measurement invariance

ある集団や状況で測っていた内容が、別の集団や状況でも同じように測れているかを示す考え方のこと。

出典

  1. Morera, O. F., & Stokes, S. M. (2016). Coefficient α as a Measure of Test Score Reliability: Review of 3 Popular Misconceptions. American Journal of Public Health, 106(3), 458-461.
  2. Goos, C., Bakker, M., Wicherts, J. M., & Nuijten, M. B. (2026). Measurement reliability, construct validity, and transparent reporting in original and replication psychological research. PLoS One, 21(9), e0356070.

LESSON 2-6 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。

Q1. 信頼性を説明しているものはどれですか。

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正解: 1. 同じ測定を繰り返したときに、結果がどれだけ安定して一致するか
信頼性は、同じ測定を繰り返したときの結果の安定した一致度を示す指標です。測りたいものを正しく捉えているかは妥当性の説明です。

Q2. モレラとストークスの2016年の論文によると、2011〜2013年のAmerican Journal of Public Healthで信頼性を報告した論文のうち、α係数を報告していた割合はどれですか。

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正解: 3. 約88%
119件のうち105件、約88.2%の論文がα係数(内的一貫性の指標)を報告していました。

Q3. 体重計の例で、ある体重計が同じ人を何度測っても同じ値を示すが、実は身長を測る目盛りだった場合に言えることはどれですか。

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正解: 2. 信頼性は高いが、妥当性は低い
結果が安定して一致するため信頼性は高いですが、測りたい体重を正しく捉えていないため妥当性は低くなります。

レッスン2-6はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第2章 心理学の研究法 のレッスン一覧
  1. 2-1研究法を学ぶ理由
  2. 2-2実験・調査・観察の違い
  3. 2-3相関と因果の違い
  4. 2-4研究結果の読み方
  5. 2-5心理学の研究倫理
  6. 2-6信頼性と妥当性

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