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第4章 意識と睡眠 ・ レッスン4-1意識とは何か。気づいていない情報は意識にのらないのか
読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-02
このレッスンの学習目標
- 意識とは何かを、心理学の考え方で説明できる
- 意識の定義が1つに定まっていない理由を説明できる
- 注意を向けていない情報が意識にのりにくいことを、実験例から説明できる
要点
- 意識とは、目が覚めている間に、外の世界や自分の体、自分自身の状態に気づいている状態のことです。
- 2021年に発表されたレビュー論文では、68本の論文の中に29種類もの異なる意識の理論が見つかっており、意識の定義は1つに定まっていません。
- 注意を向けていない情報の多くは意識に残りませんが、自分の名前のように重要な情報には、注意していなくても気づきやすいことが実験で示されています。
01意識とは何か
意識とは、目が覚めている間に、外の世界や自分の体、自分自身の状態に気づいている状態のことです。
意識とは、目が覚めている間に、外の世界や自分の体、そして自分自身の状態に気づいている状態のことです。今この文章を読んでいるときも、文字の意味だけでなく、部屋の温度や自分の姿勢に、ある程度気づいているはずです。この「気づいている」という感覚そのものが、意識の中心にある働きです。
ただし、心理学で意識をひとつの文章できっぱり定義することは簡単ではありません。2021年に発表されたレビュー論文では、2万件以上の文献から絞り込んだ68本の論文の中に、意識について29種類もの異なる理論が見つかったと報告されています。
理論の数が多いのは、意識という言葉が、脳研究・臨床・哲学など異なる分野で、少しずつ違う意味で使われてきたためです。このレビューは、意識の正確な定義は、意識を説明する理論そのものが十分に発展したときに、はじめて得られるものだと述べています。意識の定義は、今も研究が進んでいる途中の問いなのです。
02気づいていない情報は意識にのらないのか
人は目が覚めている間も周囲の情報すべてに気づいているわけではなく、注意を向けた情報だけが意識にのりやすくなります。
意識は、目や耳に入るすべての情報を同じように扱っているわけではありません。1953年に発表された実験では、参加者に2つの異なる話を同時に聞かせ、片方の話だけに注意を向けてもらいました。その後、注意を向けなかった話について尋ねると、声が男性か女性かなどの音の特徴は答えられても、話の内容である具体的な単語はほとんど答えられませんでした。
この実験が示すように、注意を向けていない情報の多くは意識に残りません。しかし1959年に発表された別の実験では、注意を向けていない話の中に参加者自身の名前を混ぜておくと、12人中4人、約33%が、注意していなかったはずのその名前に気づいたと報告されています。
2021年に発表された追跡実験でも、同じ方法で確かめたところ、参加者の29%が、注意していない話の中の自分の名前に気づいたという、よく似た結果が得られました。自分に関わる重要な情報は、注意を向けていなくても意識に入り込みやすいことを、これらの実験は示しています。
03意識は目覚めている状態だけを指すのか
意識は目覚めている状態だけでなく、睡眠や麻酔中など、質の異なるいくつかの状態として研究されています。
心理学や神経科学では、意識を目覚めている状態だけで捉えるのではなく、睡眠中や麻酔がかかっている状態など、質の異なる状態と比べることでも調べています。目覚めている意識がどのような性質を持つのかは、それとは違う状態と比べたときに、より分かりやすくなるためです。
この章では、意識が目覚めている間も、注意の向け方によって移り変わることを見てきました。次のレッスンからは、意識の状態が大きく変わる代表的な例として、睡眠そのものの仕組みを取り上げていきます。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。英語名も一緒に覚えると、海外の教科書や論文が読みやすくなります。
目が覚めている間に、外の世界や自分の体、自分自身の状態に気づいている状態。
多くの情報の中から、特定の対象にだけ意識的に注意を向けるはたらき。
周囲が騒がしい場所でも、注意を向けた相手の声だけを聞き分けられる現象。自分の名前など重要な情報には、注意を向けていなくても気づきやすい。
出典
- Sattin, D., Magnani, F. G., Bartesaghi, L., Caputo, M., Fittipaldo, A. V., Cacciatore, M., Picozzi, M., & Leonardi, M. (2021). Theoretical Models of Consciousness: A Scoping Review. Brain Sciences, 11(5), 535.
- Röer, J. P., & Cowan, N. (2021). A Preregistered Replication and Extension of the Cocktail Party Phenomenon: One's Name Captures Attention, Unexpected Words Do Not. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 47(2), 234-242.
LESSON 4-1 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
学んだ内容を確かめましょう。答えを見る前に、自分で選んでみてください。
Q1. 心理学における「意識」の説明として、もっとも近いものはどれですか。
- 目が覚めている間に、外の世界や自分の体、自分自身の状態に気づいている状態
- 夢を見ているときにだけ働く、特別な脳のはたらき
- 生まれたときから一生変わらない、固定された心の性質
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正解: 1. 目が覚めている間に、外の世界や自分の体、自分自身の状態に気づいている状態
意識とは、目が覚めている間に、外の世界や自分自身の状態に気づいている状態のことです。
Q2. 2021年に発表されたレビュー論文からわかることはどれですか。
- 意識の理論は29種類ほど見つかり、ひとつの定義には定まっていない
- 意識の定義はこの論文によってはじめて1つに統一された
- 意識についての研究は2021年にはじめて行われた
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正解: 1. 意識の理論は29種類ほど見つかり、ひとつの定義には定まっていない
2021年のレビュー論文では、68本の論文の中に29種類の異なる意識の理論が見つかったと報告されています。
Q3. 1953年と1959年の実験からわかることはどれですか。
- 注意を向けていない話の内容はほとんど覚えていないが、自分の名前のような重要な情報には気づきやすい
- 人は周囲のすべての音を、注意に関係なく常に記憶している
- 注意を向けていない話の内容は、必ずすべて記憶に残る
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正解: 1. 注意を向けていない話の内容はほとんど覚えていないが、自分の名前のような重要な情報には気づきやすい
注意を向けていない話の内容はほとんど覚えていなくても、自分の名前のような重要な情報には気づきやすいことが実験で示されています。
レッスン4-1はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。