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健康心理学生物心理社会モデルとは
英語: Biopsychosocial model ・ 更新日 2026-10-03
生物心理社会モデルとは、心や体の不調を、生物学的要因・心理的要因・社会的要因の3つが重なり合って起こるものとして理解する考え方のことです。
01生物心理社会モデルをくわしく
生物心理社会モデルは、精神科医ジョージ・エンゲル(George Engel)が1977年に提唱した考え方である。Lindau, Laumann, Levinson, Waite(2003)によれば、それまで医療を支配していた生物医学モデルは「病気を、測定可能な生物学的変数からのずれだけで説明しようとするもの」であり、エンゲルはこの枠組みには心理的・社会的・行動的側面を扱う余地がないと考えた。
エンゲルは一般システム理論を土台に、生物学的レベルだけでなく、心理的レベル・社会的レベルが階層的に相互作用するという見方を導入した。Benning(2015)は、エンゲルの主張を「生物学的な側面を軽視せず、同時に重要な心理社会的関心も排除しない、より包括的なモデル」を医学に必要だとする立場だったと説明している。
生物心理社会モデルは1970年代以降、精神医学の主流の考え方として広く受け入れられてきたが、Benning(2015)はその限界も指摘している。モデルの哲学的な基盤が明確でなく、自ら掲げる一般システム理論の原則を忠実に反映していないこと、またモデルの提唱にもかかわらず、主要な精神医学系学会での発表の86%が生物学的な側面に偏っていたという調査結果を示し、臨床現場での実践への影響が限られていることを挙げている。
誤解しやすい点として、生物心理社会モデルは「生物学的要因を無視する」立場ではない。生物・心理・社会のどれか一つではなく、3つの側面が重なり合って不調が生じるという統合的な見方であり、どの側面も軽視しない点が本来の趣旨である。
02身近な例
同じ病気でも、体の状態だけでなく、気持ちの持ち方や家族・職場の支えによって経過が変わることがある、というのが生物心理社会モデルの考え方。
03講座で学ぶ
生物心理社会モデルは、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。
FAQよくある質問
生物心理社会モデルとは何ですか?
生物心理社会モデルとは、心や体の不調を、生物学的要因・心理的要因・社会的要因の3つが重なり合って起こるものとして理解する考え方のことです。
生物心理社会モデルと生物医学モデルの違いは何ですか?
Lindau等(2003)によれば、生物医学モデルは病気を測定可能な生物学的変数からのずれだけで説明しようとする立場です。これに対し生物心理社会モデルは、エンゲルが1977年に提唱したように、生物学的側面に加えて心理的・社会的側面も重要だとする、より包括的な立場です。
生物心理社会モデルは実際の医療で十分に使われているのですか?
Benning(2015)は、このモデルが精神医学の主流の考え方として広く受け入れられてきた一方で、主要な学会発表の86%が生物学的な側面に偏っていたとする調査を紹介し、理論の提唱にもかかわらず臨床現場での実践への影響は限られていると指摘しています。
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出典
- Lindau, S. T., Laumann, E. O., Levinson, W., & Waite, L. J. (2003). Synthesis of Scientific Disciplines in Pursuit of Health: The Interactive Biopsychosocial Model. Perspectives in Biology and Medicine, 46(3 Suppl), S74-S86.
- Benning, T. B. (2015). Limitations of the biopsychosocial model in psychiatry. Advances in Medical Education and Practice, 6, 347-352.
- [背景] Engel, G. L. (1977). The Need for a New Medical Model: A Challenge for Biomedicine. Science, 196(4286), 129-136.