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脳と心中央実行系とは
英語: Central Executive ・ 更新日 2026-10-04
中央実行系とは、ワーキングメモリの中で、注意の向け方や情報の処理を監督し、ほかの部分をまとめて制御するはたらきのことです。
01中央実行系をくわしく
中央実行系は、1974年に心理学者バドリーとヒッチが提唱したワーキングメモリの多重要素モデルの中心にある仕組みです。言葉を保持する「音韻ループ」や、視覚・空間の情報を扱う「視空間スケッチパッド」を、限られた注意という資源を使って統制する役割を担うと考えられています。
その働きには、注意を対象へ向けること、不要な情報を抑えること、複数の作業を同時にこなす際の調整、長期記憶へのアクセスなどが含まれます。バドリーは心理学者ノーマンとシャリスが1986年に示した「競合する行動の枠組みが呼び出しの合図によって活性化される」という統制モデルを取り入れ、慣れた自動的な行動では対応しきれない新しい状況で働く注意の仕組みとして位置づけました。
前頭葉に損傷のある患者(RJ)の症例では、カードの分類課題(ウィスコンシン・カード分類検査)で一つの分類基準も達成できず、45回の誤りのうち43回が同じ誤りの繰り返しだったことが報告されています。また、言葉の流暢性を調べる課題でも、指定された文字で始まる単語を一つも挙げられなかったとされています。
アルツハイマー型認知症の人を対象にした研究でも、二つの作業を同時に行う課題(二重課題)の成績が、言葉の流暢性やカード分類課題の成績に差がない場合でも、健康な人より明らかに低下することが確認されており、複数の作業を調整する力がとくに損なわれやすいことが示されています。
02身近な例
たとえば、料理をしながら電話の内容も覚えておくような場面では、火加減に注意を向けつつ会話の情報を保持する必要があり、こうした複数の作業を同時に調整するときに中央実行系が働いていると考えられます。
03講座で学ぶ
中央実行系は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。
FAQよくある質問
中央実行系とは何ですか?
中央実行系とは、ワーキングメモリの中で注意の向け方を調整し、音韻ループや視空間スケッチパッドといった他の部分の働きをまとめて制御するしくみのことです。
中央実行系とワーキングメモリの違いは?
ワーキングメモリは、情報を一時的に保持しながら処理する心のしくみ全体を指す言葉で、中央実行系はその中で注意を配分し、各部分の働きを調整する役割を担う一部分です。
中央実行系が弱くなるとどうなりますか?
前頭葉に損傷のある患者の症例では、新しい状況への切り替えや判断に誤りが増えることが報告されており、認知症の人を対象にした研究でも、複数の作業を同時に行う課題の成績が低下することが確認されています。ただし個人差があり、誰にでも同じように当てはまるとは限りません。
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出典
- Hitch, G. J., Allen, R. J., & Baddeley, A. D. (2025). The multicomponent model of working memory fifty years on. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 78(2), 222-239.
- Baddeley, A. D. (2021). Developing the Concept of Working Memory: The Role of Neuropsychology. Archives of Clinical Neuropsychology, 36(6), 861-873.