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生理心理学

慢性的な睡眠不足とは

英語: Chronic Sleep Restriction ・ 更新日 2026-10-04

慢性的な睡眠不足とは、必要な睡眠時間に届かない状態が、何日も続くことです。1晩の徹夜のような完全な睡眠不足とは異なり、本人が気づかないうちに注意力や作業能力が少しずつ低下していく点が特徴です。

01慢性的な睡眠不足をくわしく

2022年にザモア(Zamore)とヴィーシー(Veasey)が発表したレビューでは、2003年のヴァンドンゲン(Van Dongen)らの研究が紹介されています。それによると、1晩あたりの睡眠時間を7時間未満に制限する状態を1〜2週間続けると、眠気が積み重なり、注意力や気分が徐々に悪化します。注目されたのは、参加者自身が自分の能力の低下にほとんど気づいていなかった、という点です。

2019年にマクヒル(McHill)らが26人を対象に行った研究では、1日あたりの睡眠を5.6時間に制限する状態を4〜5週間続けたところ、起床直後の作業能力が、8時間眠った対照群に比べて約10%低下し、ベースラインとの比較では最大で約16〜19%の低下となりました。制限が始まった最初の1週間ではこの差はまだ目立ちませんでしたが、最終週には起床直後の能力低下が約16%まで悪化しており、体が慢性的な睡眠不足に慣れていくわけではないことが示されています。

同じ研究では、睡眠を8時間取った対照群は起床から約10分でふだんの能力に戻りましたが、睡眠を制限された人はおよそ70分かかり、約7倍の時間を要しました。

ザモアとヴィーシーのレビューでは、慢性的な睡眠不足から回復するには2〜3晩の回復睡眠では不十分な場合があり、記憶に関わる働きが完全には戻らないことがあると指摘されています。「平日の睡眠不足を週末の寝だめで解消できる」という考え方は広く信じられていますが、研究からは、その影響を単純な寝だめだけで完全に取り戻せるとは言えないことがうかがえます。

02身近な例

平日は5時間しか眠らず、本人は「慣れた」と感じていても、反応の速さや集中力は少しずつ落ちている、というのが慢性的な睡眠不足の典型的な現れ方です。

03講座で学ぶ

慢性的な睡眠不足は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。

  1. 第4章睡眠不足は心と体に何をするのか。慢性的な影響とは

FAQよくある質問

慢性的な睡眠不足とは何ですか?

慢性的な睡眠不足とは、必要な睡眠時間に届かない状態が何日も続くことです。本人が気づかないうちに、注意力や作業能力が徐々に低下していく点が特徴です。

慢性的な睡眠不足と徹夜の違いは?

徹夜は一時的に強い眠気や能力低下を引き起こし、本人もその低下を自覚しやすいとされています。一方、慢性的な睡眠不足では能力が少しずつ低下するため、本人が気づきにくいという違いが報告されています。

週末の寝だめで解消できますか?

研究では、2〜3晩の回復睡眠だけでは、注意力や記憶に関わる働きが完全には元に戻らない場合があることが示されています。

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出典

  1. McHill AW, et al. (2019). Chronic sleep restriction greatly magnifies performance decrements immediately after awakening. Sleep, 42(5), zsz032.
  2. Zamore Z, Veasey S (2022). Neural Consequences of Chronic Sleep Disruption. Trends in Neurosciences, 45(9), 678-691.

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