HOME / ゼロから学ぶ心理学 / 心理学用語辞典 / 認知療法とは

臨床心理学

認知療法とは

英語: Cognitive therapy ・ 更新日 2026-10-04

認知療法とは、自動的に浮かぶゆがんだ考え方を見直すことで、心の不調を和らげようとする心理療法の立場のことです。

01認知療法をくわしく

認知療法は、精神科医ベック(Aaron T. Beck)が、うつ病の治療を通じて確立した心理療法です。出来事そのものよりも、その出来事をどう受け止めるかという「認知」のゆがみが気分の落ち込みに関わっていると考え、その考え方を検討し、修正していく手法をとります。

1990年にゲルダーがBMJ誌に発表した総説では、認知療法がうつ病の治療において薬物療法と同程度の効果を持つことを示した研究や、2年後の追跡調査でも効果が維持されていたとする研究が紹介されており、認知療法と薬物療法を組み合わせることで、より良い結果が得られる可能性も論じられています。

一方で、2011年にヤコブセンらが、治療の質が高い8件の無作為化比較試験(参加者719人)を対象に行ったシステマティックレビューでは、ハミルトンうつ病評価尺度では認知療法群が通常治療群より症状が軽い傾向が見られたものの、その差は臨床的には小さく、ベックうつ病尺度では有意な差が確認されませんでした。著者らは、現時点のデータだけでは効果を確信するには不十分であり、質の高い研究の蓄積が必要だと結論づけています。

「認知療法を受ければ必ずうつが治る」といった断定はできず、研究によって効果の大きさの評価が分かれている点に注意が必要です。

02身近な例

失敗を「自分は何をやってもダメだ」と一般化して受け止めてしまう考え方のくせに気づき、別の見方ができないか検討していくのは、認知療法的なアプローチの一例です。

03講座で学ぶ

認知療法は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。

  1. 第16章認知行動療法(CBT)とは何か

FAQよくある質問

認知療法とは何ですか?

認知療法とは、自動的に浮かぶゆがんだ考え方を見直すことで、心の不調を和らげようとする心理療法の立場のことです。

認知療法と認知行動療法は同じですか?

認知療法は認知の修正に重点を置くベックの治療法を指すことが多く、認知行動療法はそれに行動面への働きかけを組み合わせた、より広い枠組みを指すことが一般的です。両者は重なる部分も多くあります。

認知療法はうつ病に本当に効果がありますか?

研究によって評価が分かれています。薬物療法と同程度の効果や、効果の維持を示した研究がある一方、質の高い臨床試験を対象にしたレビューでは、効果の大きさについて慎重な見方も示されており、断定はできません。

RELATED同じ分野の用語

精神疾患精神力動的アプローチドーパミン仮説認知行動療法ドードー鳥の評決系統的脱感作

出典

  1. Gelder, M. (1990). Psychological treatment for depressive disorders. BMJ, 300(6732), 1087-1088.
  2. Jakobsen, J. C., Hansen, J. L., Storebø, O. J., Simonsen, E., & Gluud, C. (2011). The effects of cognitive therapy versus 'treatment as usual' in patients with major depressive disorder. PLoS One, 6(8), e22890.

心理学用語辞典の一覧へ(202語)