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臨床心理学ドーパミン仮説とは
英語: Dopamine hypothesis of schizophrenia ・ 更新日 2026-10-03
ドーパミン仮説とは、統合失調症の症状が、脳内のドーパミン系の働きの異常と関連しているとする考え方のことです。
01ドーパミン仮説をくわしく
ドーパミン仮説の出発点は1950年代にさかのぼります。レセルピンという薬が脳内の神経伝達物質を減らすと、動物に動作が止まる「カタレプシー」という状態が起こり、ドーパミンの前段階物質を与えるとこれが元に戻ることが見いだされました。1963年には、カールソンとリンドクビストが、抗精神病薬のクロルプロマジンやハロペリドールがドーパミン系に作用することを示しました。
こうした発見から、統合失調症ではドーパミンの働きが過剰になっているとする考え方が広がりました。2014年のブリッシュらのまとめでは、PET(陽電子放射断層撮影)を使った研究で、統合失調症の患者と健康な人とで、前頭前皮質や帯状皮質、海馬のドーパミン量に違いがあることが報告されています。統合失調症の患者では、線条体のドーパミンD2受容体の量が増えているという報告もあります。
一方、2006年のカールソンとカールソンの論文は、従来の「ドーパミン過剰」という見方に対し、シナプスでのドーパミンのやり取りそのものに不具合があり、それを埋め合わせる形で受容体が増えるのではないかという、別の仮説を提案しています。
このように、ドーパミン仮説は1960年代から現在まで修正が重ねられてきた考え方であり、「ドーパミンが多いか少ないか」という単純な図式では説明しきれない部分も、研究によって指摘されています。
02身近な例
統合失調症の幻覚や妄想などの症状に、ドーパミンの働きを抑える薬(抗精神病薬)が効くことが多いのは、この仮説を支える観察のひとつです。
03講座で学ぶ
ドーパミン仮説は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。
FAQよくある質問
ドーパミン仮説とは何ですか?
ドーパミン仮説とは、統合失調症の症状が、脳内のドーパミン系の働きの異常と関連しているとする考え方のことです。
ドーパミン仮説は統合失調症のすべてを説明できますか?
いいえ。ドーパミン仮説は1960年代から何度も修正されてきた考え方で、2006年の論文のように、従来の「ドーパミン過剰」という説明そのものを見直す提案もあります。統合失調症の原因は単一の仮説だけで説明しきれないと考えられています。
ドーパミン仮説と抗精神病薬の関係は?
抗精神病薬の多くはドーパミンD2受容体を遮断する薬で、幻覚や妄想などの症状を和らげます。この薬の効き方が、ドーパミン仮説が長く支持されてきた理由のひとつです。
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出典
- Carlsson, A., & Carlsson, M. L. (2006). A dopaminergic deficit hypothesis of schizophrenia: the path to discovery. Dialogues in Clinical Neuroscience, 8(1), 137-142.
- Brisch, R., Saniotis, A., Wolf, R., et al. (2014). The role of dopamine in schizophrenia from a neurobiological and evolutionary perspective: old fashioned, but still in vogue. Frontiers in Psychiatry, 5, 47.