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臨床心理学共通要因とは
英語: Common factors ・ 更新日 2026-10-04
共通要因とは、心理療法の効果にかかわる、特定の技法や学派の違いを超えて多くの心理療法に共通する要素(治療同盟・共感・期待など)のことです。
01共通要因をくわしく
心理学者ローゼンツヴァイクは1936年の論文で、理論的な立場が大きく異なる様々な心理療法が、どれも一定の効果を示すという事実に注目し、その背景には技法の違いを超えた「暗黙の共通要因」があるのではないかと指摘しました。この考え方は、後に「どの心理療法も同じくらい効果がある」という、いわゆるドードー鳥の評決とも結びつけて語られるようになりました。
ウォンポルドは2015年のレビュー論文で、心理療法が効果を持つ経路を、本物の治療関係・納得できる説明によって生まれる期待・健康的な行動への関与という3つにまとめ、これを文脈モデルと呼びました。そこでは、治療同盟(およそ200件の研究、1万4000人以上のデータでd=0.57)や共感(d=0.63)といった共通要因の効果量が、特定の技法同士の差(d=0.20程度)よりも大きいことが示されています。
フルッキガーらが2020年に発表したメタ分析では、60件の独立したサンプル・6061人のデータから、治療同盟と治療効果の相関がr=.304であり、患者の初期の特徴や治療の進み方を統制した後でも、この関連が保たれることが確認されました。
ただし、共通要因が重要だということは、技法が何でもよいという意味ではありません。共通要因は、治療者が一貫した説明と手順を、良好な関係の中で実行することを通じて働くと考えられており、治療の構造や手順そのものも、共通要因が機能するための土台になっています。
02身近な例
理論的な立場が違う認知行動療法と精神分析的な心理療法を受けた人が、どちらも同じくらい症状が改善したという研究結果は、共通要因の働きで説明されることがあります。
03講座で学ぶ
共通要因は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。
FAQよくある質問
共通要因とは何ですか?
共通要因とは、心理療法の効果にかかわる、特定の技法や学派の違いを超えて多くの心理療法に共通する要素(治療同盟・共感・期待など)のことです。1936年にローゼンツヴァイクが指摘し、その後の研究で効果への影響が示されています。
共通要因と心理療法の技法は、どちらが効果を決めるのですか?
ウォンポルドの2015年のレビューでは、治療同盟(d=0.57)や共感(d=0.63)といった共通要因の効果量が、特定の技法同士の違い(d=0.20程度)より大きいとされています。ただし、技法が無意味というわけではなく、共通要因は技法を実行する土台として働くと考えられています。
心理療法の種類によって効果に差はないのですか?
技法どうしを比較した研究(dismantling研究)では差がごくわずか(d=0.01程度)だったとする報告がありますが、これは一部の比較にとどまり、すべての心理療法が常に同じ効果を持つと確定しているわけではありません。
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出典
- Rosenzweig, S. (1936). Some implicit common factors in diverse methods of psychotherapy. American Journal of Orthopsychiatry, 6(3), 412-415.
- Wampold, B. E. (2015). How important are the common factors in psychotherapy? An update. World Psychiatry, 14(3), 270-277.
- Flückiger, C., Del Re, A. C., Wlodasch, D., Horvath, A. O., Solomonov, N., & Wampold, B. E. (2020). Assessing the alliance-outcome association adjusted for patient characteristics and treatment processes: A meta-analytic summary of direct comparisons. Journal of Counseling Psychology, 67(6), 706-711.