HOME / 日常の心理学 / 心理学用語辞典 / 感情の要素モデルとは

感情・動機づけ

感情の要素モデルとは

英語: Component Model of Emotion ・ 更新日 2026-10-03

感情の要素モデルとは、感情を、主観的経験・生理的反応・行動という複数の要素が連動して変化する現象として捉える考え方のことです。

01感情の要素モデルをくわしく

感情の要素モデルを代表する理論の一つが、シェラー(Klaus Scherer)の「要素プロセスモデル(Component Process Model)」である。Scherer(2009)は、感情のエピソードを、評価(アプレイザル)・動機づけ・生理的反応・表出(表情・声・身振り)・主観的な感じ(feeling)という複数の要素が同期して変化する過程として説明している。

このモデルでは、出来事の意味を評価する一連の基準によって、感情の種類が区別されると考える。Scherer自身、このモデルを約25年かけて発展させたとされ、感情を固定した型ではなく「創発的なパターン」として捉える点を特徴としている。

Dukes & Sander(2024)は、要素モデル的な見方の歴史を振り返り、「感情は複数の重要な要素を含む」という考え方が、対立するさまざまな感情理論(基本感情理論、構成主義、評価理論など)に共通して見られる前提だと指摘している。各理論は、評価・表出・生理反応・行動傾向・主観的な感じのうち、どの要素を重視するかが異なるだけだという。

誤解しやすい点として、要素モデルは「感情にはいくつかの決まった種類がある」という主張ではなく、複数の構成要素がどう組み合わさり連動するかに注目する枠組みである。要素間の連動のタイミングや強さは、出来事や個人によって変わりうる。

02身近な例

怖い出来事に遭遇したとき、「怖いと感じる(主観的経験)」「心臓がドキドキする(生理反応)」「体がこわばる(表出)」が同時に起こるのは、要素モデルで説明できる。

03講座で学ぶ

感情の要素モデルは、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。

  1. 第10章感情とは何か。感情を構成する要素

FAQよくある質問

感情の要素モデルとは何ですか?

感情の要素モデルとは、感情を、主観的経験・生理的反応・行動という複数の要素が連動して変化する現象として捉える考え方のことです。

感情の要素モデルと基本感情理論の違いは何ですか?

Dukes & Sander(2024)によれば、基本感情理論は感情の「表出」の要素を重視する立場であるのに対し、要素モデル(評価理論など)は出来事の「評価」の過程を重視するなど、どの要素を中心に置くかが理論によって異なります。

感情はいつも同じ要素のセットとして起こるのですか?

必ずしもそうではありません。Scherer(2009)のモデルでは、感情は固定された型ではなく、評価・動機づけ・生理反応・表出・主観的な感じという要素が、出来事ごとに異なる組み合わせと強さで連動する「創発的な過程」として説明されています。

出典

  1. Scherer, K. R. (2009). Emotions are emergent processes: they require a dynamic computational architecture. Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences, 364(1535), 3459-3474.
  2. Dukes, D., & Sander, D. (2024). Affectivism and the Emotional Elephant: How a Componential Approach Can Reconcile Opposing Theories to Serve the Future of Affective Sciences. Affective Science, 5(3), 196-200.

心理学用語辞典の一覧へ(67語)