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健康心理学糖質コルチコイド抵抗性(GCR)とは
英語: Glucocorticoid Receptor Resistance ・ 更新日 2026-10-04
糖質コルチコイド抵抗性(GCR)とは、強いストレスが続くことで、免疫細胞がコルチゾールなどの糖質コルチコイドというホルモンに対して反応しにくくなる状態のことです。コルチゾールには炎症を抑える働きがあるため、GCRが起こると炎症が収まりにくくなります。
01糖質コルチコイド抵抗性(GCR)をくわしく
糖質コルチコイドの一種であるコルチゾールは、体に炎症が起きたときに分泌され、免疫細胞の働きを抑えて炎症を終わらせる役割を持っています。ところが、強いストレスが続くと、免疫細胞の側がコルチゾールに反応しにくくなることがあり、この状態を糖質コルチコイド抵抗性(GCR)と呼びます。GCRが起こると、炎症を抑える指令が出ているのに免疫細胞がそれに従わず、炎症が長引きやすくなります。
2012年に心理学者シェルドン・コーエンらが発表した研究では、強いストレスとなる出来事を経験した276人にかぜのウイルスをあえてうつした実験を行っています。その結果、ストレスを経験してGCRが起きていた人は、起きていなかった人に比べて、かぜを発症するリスクがおよそ2倍高かったことが示されました。別の79人を対象にした実験でも、GCRが強い人ほど、ウイルス感染後に作られる炎症性の物質(インターロイキン6など)が多いことが確認されています。
2021年のウォルシュらによるレビューでは、ネズミ・サル・人を対象とした41件の研究を調べ、慢性的なストレスと体内の炎症との関連を説明するうえで、血液中のホルモンの量そのものよりも、免疫細胞がホルモンにどれだけ反応しにくくなっているか(細胞レベルの感受性の変化)の方が重要であるという、種をこえて一致した証拠が見つかったとまとめています。
GCRは、がんの子どもを持つ親や、強い孤独感を持つ人など、長期にわたる心理的なストレスを抱える人たちでも報告されており、心臓血管の病気や糖尿病など、炎症が関わる慢性的な病気のリスクを高める仕組みのひとつと考えられています。ただし、GCRはストレスと病気を結ぶ経路のひとつであって、ストレスがあれば必ず病気になるという単純な関係を意味するものではありません。
02身近な例
大切な人の介護など長く続く強いストレスを抱えている人が、風邪をひきやすくなったり治りにくくなったりすることがあります。これはGCRによって炎症の調整がうまくいかなくなることが一因と考えられています。
03講座で学ぶ
糖質コルチコイド抵抗性(GCR)は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。
FAQよくある質問
糖質コルチコイド抵抗性(GCR)とは何ですか?
糖質コルチコイド抵抗性(GCR)とは、強いストレスが続くことで、免疫細胞がコルチゾールなどの糖質コルチコイドに反応しにくくなり、炎症が収まりにくくなる状態のことです。
GCRが起こるとコルチゾールの量が減るのですか?
必ずしもそうではありません。GCRは血液中のホルモンの量そのものよりも、免疫細胞がホルモンにどれだけ反応できるかという、細胞レベルの感受性が低下することを指します。
ストレスを感じたら必ずGCRが起こるのですか?
強いストレスが続くとGCRが起こりやすくなることが研究で示されていますが、個人差があり、ストレスを感じれば誰にでも同じように起こるとは限りません。
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出典
- Cohen, S., Janicki-Deverts, D., Doyle, W. J., Miller, G. E., Frank, E., Rabin, B. S., & Turner, R. B. (2012). Chronic stress, glucocorticoid receptor resistance, inflammation, and disease risk. Proceedings of the National Academy of Sciences, 109(16), 5995-5999.
- Walsh, C. P., Bovbjerg, D. H., & Marsland, A. L. (2021). Glucocorticoid Resistance and β2-Adrenergic Receptor Signaling Pathways Promote Peripheral Pro-Inflammatory Conditions Associated with Chronic Psychological Stress: A Systematic Review Across Species. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 128, 117-135.