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お金の心理学(行動経済学)

快楽順応とは

英語: Hedonic Adaptation ・ 更新日 2026-10-03

快楽順応とは、良い変化にも悪い変化にも時間がたつと慣れ、幸福感が元の水準に戻っていく傾向のことです。収入が増えても満足が長続きしない理由の一つとされています。

01快楽順応をくわしく

快楽順応は、良いことも悪いことも時間が経つと慣れてしまい、幸福感が元の水準に戻っていくという考え方で、「幸福のセットポイント理論」とも関わりの深いテーマです。人は遺伝や性格で決まる幸福の基準値を持ち、出来事があってもやがてそこに戻っていく、という見方です。

2003年にイースタリン(Easterlin)がProceedings of the National Academy of Sciences誌に発表した論文では、セットポイント理論を社会調査データから検討し、順応の程度は分野によって異なると報告されました。特に経済的な領域(収入など)では順応がほぼ完全に起こる一方、健康状態や婚姻状況については「不完全な順応」、つまり元の水準に戻りきらない変化が見られると論じています。

2014年にアヌシッチ(Anusic)らがSocial Indicators Research誌に発表した、スイスの大規模な追跡調査では、結婚・出産・死別・失業・障害という出来事の前後で生活満足度がどう変わるかを調べました。結婚や出産では、出来事の年に満足度が一時的に上がり、その後は下がっていく傾向が見られましたが、死別や失業、障害については、年齢などの変化を考慮しても、長期的に満足度が下がったままの状態が続くことが示されました。

快楽順応は「お金や成功で幸せは長続きしない」という話でよく引用されますが、研究が示すのは「順応の程度は出来事の種類によって異なる」という、より限定的な内容です。経済的な変化には比較的早く順応する一方、死別や障害のような出来事には順応しきらないことがある、という点に注意が必要です。

02身近な例

欲しかった給料アップを叶えても、数ヶ月経つとその生活水準が「当たり前」になり、以前ほどの喜びを感じなくなる——これが快楽順応の一例です。

RESEARCH研究の解説記事

収入が増えても貯金が増えないのはなぜか。生活水準の適応の研究(お金と心理)

FAQよくある質問

快楽順応とは何ですか?

快楽順応とは、良い変化にも悪い変化にも時間がたつと慣れ、幸福感が元の水準に戻っていく傾向のことです。収入が増えても満足が長続きしない理由の一つとされています。

快楽順応はどんな出来事にも当てはまるのですか?

いいえ。研究では、収入などの経済的な変化には比較的よく順応する一方、死別や障害のような出来事には長期的に順応しきらない場合があることが示されています。

快楽順応は悪いことなのですか?

一概には言えません。悪い出来事からの回復を助ける面もありますが、良い出来事の喜びが長続きしない原因にもなるとされています。

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出典

  1. Brickman, P., Coates, D., & Janoff-Bulman, R. (1978). Lottery winners and accident victims: Is happiness relative? Journal of Personality and Social Psychology, 36(8), 917-927.(背景・古典)
  2. Easterlin, R. A. (2003). Explaining happiness. Proceedings of the National Academy of Sciences, 100(19), 11176-11183.
  3. Anusic, I., Yap, S. C. Y., & Lucas, R. E. (2014). Testing set-point theory in a Swiss national sample: Reaction and adaptation to major life events. Social Indicators Research, 119(3), 1265-1288.

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