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お金の心理学(行動経済学)支払いの痛みとは
英語: Pain of Paying ・ 更新日 2026-10-03
支払いの痛みとは、お金を支払うときに感じる心理的な抵抗感のことです。現金のように支払いと残高の減少が同時に見えるほど強く、クレジットカードのように切り離されているほど弱くなります。
01支払いの痛みをくわしく
支払いの痛みは、経済学者ドラゼン・プレレックとジョージ・ローウェンスタインが1998年の論文で提唱した概念で、支払いと手持ちのお金が減る感覚が結びつくほど、支払いに心理的な抵抗(痛み)を感じやすいとされます。この原典自体はPMCには収録されていません。
提唱者の一人ローウェンスタインが参加した2007年のfMRI研究(Knutson et al.)では、参加者26人に80種類の商品を提示したところ、割高な価格は島皮質(不快感と関連する部位)を活性化させ、内側前頭前皮質の活動を低下させました。島皮質・内側前頭前皮質・線条体の活動パターンから、購入するかどうかを偶然(50%)より高い60%の精度で予測できました。
一方、プレレックが参加した2021年のfMRI研究(Banker et al.)では、27人がカードまたは現金で実際に買い物をしたところ、カードの方が多く使う傾向(平均87.41ドル対84.19ドル)が確認されましたが、「痛み」の中心とされる島皮質の活動は支払い方法と明確には対応していませんでした。
現金・カード・スマートフォンの支払い動画を見せた2019年の研究(Ceravolo et al.)では、現金払いを見たときだけ、金額が大きいほど島皮質の活動が強まりました。これらを合わせると、「カードは痛みを感じにくく使いすぎやすい」という大枠は支持されつつも、島皮質だけで単純に説明できるものではないと考えられています。
02身近な例
同じ金額でも、現金で支払うときの方が、カードで支払うときより「もったいない」と感じやすいのは、支払いの痛みの一例です。
RESEARCH研究の解説記事
現金よりカードで使いすぎるのはなぜ?支払いの痛みの研究(お金と心理)
FAQよくある質問
支払いの痛みとは何ですか?
支払いの痛みとは、お金を支払うときに感じる心理的な抵抗感のことです。現金のように支払いと残高の減少が同時に見えるほど強く、クレジットカードのように切り離されているほど弱くなるとされています。
クレジットカードは本当に使いすぎにつながりますか?
研究では、クレジットカードで買い物をしたときの方が現金より平均的な支払額が高くなる傾向が確認されています。ただし、痛みの中心とされる脳の部位(島皮質)の活動は支払い方法によって単純には変わらず、使いすぎの仕組みはまだ完全には解明されていません。
支払いの痛みと心の会計(メンタル・アカウンティング)はどう違いますか?
支払いの痛みは「支払う瞬間に感じる抵抗感」を指すのに対し、心の会計はお金を使い道ごとに心の中で別々の「財布」に分けて考える傾向を指します。どちらもプレレックとローウェンスタインの研究から生まれた関連する概念です。
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出典
- Prelec, D., & Loewenstein, G. (1998). The red and the black: Mental accounting of savings and debt. Marketing Science, 17(1), 4-28.(背景・原典。PMCには収録されていません)
- Knutson, B., Rick, S., Wimmer, G. E., Prelec, D., & Loewenstein, G. (2007). Neural predictors of purchases. Neuron, 53(1), 147-156.
- Banker, S., Dunfield, D., Huang, A., & Prelec, D. (2021). Neural mechanisms of credit card spending. Scientific Reports, 11, 4070.
- Ceravolo, M. G., Fabri, M., Fattobene, L., Polonara, G., & Raggetti, G. (2019). Cash, card or smartphone: The neural correlates of payment methods. Frontiers in Neuroscience, 13, 1188.