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お金の心理学(行動経済学)

現状維持バイアスとは

英語: Status Quo Bias ・ 更新日 2026-10-03

現状維持バイアスとは、変化よりも今の状態を維持することを選びやすい心理のことです。サブスクの解約のように手続きが必要な選択より、何もしなくてよい継続が選ばれやすくなります。

01現状維持バイアスをくわしく

現状維持バイアスは、経済学者ウィリアム・サミュエルソンとリチャード・ゼックハウザーが1988年の論文で提唱した概念で、変化による利益よりも今の状態の維持を選びやすい傾向を指します。この原典自体はPMCには収録されていません。

健康保険の選択実験(Krieger & Felder, 2013)では、「フルカバー」がデフォルトの群は自己負担率を平均23.0%に設定したのに対し、中立群は32.1%に設定し、差は統計的に有意でした(p=0.034)。ただしこの差は実験を繰り返すうちに小さくなり、2回目以降は有意でなくなりました。

臓器提供の意味づけを調べた研究(Davidai, Gilovich, & Ross, 2012)では、オプトアウト制の国は参加率が90%を超える一方、オプトイン制の国は15%未満にとどまりました。実験では、デフォルトから外れる行動の方が「本人の意思を反映した意味のある行動」として評価されやすいことが示されています(5.9点対4.9点、p<0.0001)。

これらの研究から、現状維持バイアスは単なる「面倒くさがり」ではなく、デフォルトから外れる行動ほど重く意味づけられるという、意味づけの仕組みに根ざした現象だと考えられます。一方で、繰り返し経験すると効果が弱まる場合もあり、常に同じ強さで働くわけではありません。

02身近な例

サブスクリプションサービスの自動更新を、特に不満がなくてもそのまま続けてしまうのは、現状維持バイアスの一例です。

RESEARCH研究の解説記事

固定費の見直しがなぜ後回しになるのか。現状維持バイアスの研究(お金と心理)

FAQよくある質問

現状維持バイアスとは何ですか?

現状維持バイアスとは、変化よりも今の状態を維持することを選びやすい心理のことです。サブスクの解約のように手続きが必要な選択より、何もしなくてよい継続が選ばれやすくなります。

現状維持バイアスとデフォルト効果はどう違いますか?

現状維持バイアスは「今の状態を保ちたい」という心理そのものを指し、デフォルト効果はその心理が「あらかじめ設定された選択肢がそのまま選ばれやすい」という具体的な現象として現れたものを指します。両者は密接に関連しています。

現状維持バイアスは経験すれば弱まりますか?

研究によっては、同じ選択を繰り返すうちに効果が小さくなる例も報告されています。ただし、すべての場面で同じように弱まるとは確認されていません。

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アンカリング効果支払いの痛み保有効果デフォルト効果快楽順応ダチョウ効果

出典

  1. Samuelson, W., & Zeckhauser, R. (1988). Status quo bias in decision making. Journal of Risk and Uncertainty, 1(1), 7-59.(背景・原典。PMCには収録されていません)
  2. Krieger, M., & Felder, S. (2013). Can decision biases improve insurance outcomes? An experiment on status quo bias in health insurance choice. International Journal of Environmental Research and Public Health, 10(6), 2560-2577.
  3. Davidai, S., Gilovich, T., & Ross, L. D. (2012). The meaning of default options for potential organ donors. Proceedings of the National Academy of Sciences, 109(38), 15201-15205.

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