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脳と心

選択的注意とは

英語: Selective Attention ・ 更新日 2026-10-04

選択的注意とは、多くの情報の中から特定の対象だけに注意を向け、それ以外の情報を意識から締め出す心の働きのことです。1953年に心理学者チェリーが「カクテルパーティー効果」として報告しました。

01選択的注意をくわしく

心理学者コリン・チェリーは1953年、パーティーのように多くの人の声が入り混じる場所でも、自分が話している相手の声だけを聞き取れるという現象に注目し、これを「カクテルパーティー効果」と呼びました。チェリーは、片方の耳に聞くべき話を流し、もう片方の耳に別の話を流して、聞くべき話だけを声に出して繰り返させる「シャドーイング」という方法で、この選択的注意の仕組みを調べました。

この研究をもとに、心理学者ブロードベントは1958年、注意は入ってくる情報の一部だけを通す「フィルター」のように働くという説を提案しました。初期のフィルター説では、注意を向けていない情報は、音の高さや大きさといった表面的な特徴の段階で処理が止まり、意味までは理解されないと考えられていました。

ただし、無視されているはずの情報の中に、自分の名前のような重要な意味を持つ言葉が含まれていると、気づいてしまうことがあります。2020年のロエアーとカウアンによる再現実験でも、参加者の約29%が、聞くべきでない方の音声に含まれた自分の名前に気づいたことが確認されました。

一方で、意味的に予想外なだけの言葉(自分の名前のような強い結びつきがない言葉)には、ほとんど気づかれませんでした。選択的注意は「無視した情報はまったく処理されない」という単純な仕組みではなく、自分に関係が深い情報ほど、注意のフィルターを通り抜けやすいことを示しています。

02身近な例

大勢が話す飲み会でも、自分の名前を呼ばれるとすぐに気づく。これは選択的注意の働きで説明できます。満員電車で音楽を聴いていても、自分の降りる駅名のアナウンスだけは耳に入ってくることがあります。

03講座で学ぶ

選択的注意は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。

  1. 第4章意識とは何か。気づいていない情報は意識にのらないのか

FAQよくある質問

選択的注意とは何ですか?

選択的注意とは、多くの情報の中から特定の対象だけに注意を向け、それ以外を意識から締め出す心の働きのことです。1953年にチェリーが「カクテルパーティー効果」として報告しました。

選択的注意と注意力の違いは何ですか?

「注意力」は注意を向け続ける力全般を指す言葉として使われますが、選択的注意は特に、複数の情報の中から特定のものだけを選び出す働きを指す心理学の用語です。

無視した情報はまったく処理されていないのですか?

いいえ。無視しているはずの情報でも、自分の名前のように重要な意味を持つ場合は気づかれることがあり、注意のフィルターは完全に情報を遮断しているわけではないことが実験で示されています。

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出典

  1. Bronkhorst, A. W. (2015). The cocktail-party problem revisited: early processing and selection of multi-talker speech. Attention, Perception, & Psychophysics, 77(5), 1465-1487.
  2. Röer, J. P., & Cowan, N. (2020). A Preregistered Replication and Extension of the Cocktail Party Phenomenon: One's Name Captures Attention, Unexpected Words Do Not. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 47(2), 234-242.

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