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心理学の分野社会心理学とは(第12章)
更新日 2026-10-03
社会心理学とは、他者や集団が人の考え方・感じ方・行動にどう影響するかを研究する心理学の一分野です。自己・態度・感情・他者理解などの領域を含みます。
01社会心理学が扱う領域
社会心理学は、自己概念・態度・感情体験・他者の心の推測という異なる領域を、共通の性質でまとめて研究する分野だと論じられています。
2009年の論文は、社会心理学が「自己概念(自分自身についての考え)」「態度と評価(対象への肯定・否定の判断)」「感情体験(自分の感情への気づき)」「心の理論(他者の思考・感情の推測)」という、一見ばらばらな領域から成り立っていると指摘しています。この論文の著者は、これらの領域が脳の内側前頭葉皮質という共通の部位と関わっていることを根拠に、社会心理学が単なる研究テーマの集まりではなく、まとまりのある分野だと論じています。
同論文は、これらの領域に共通する特徴を「ファジーな認知」と表現しています。つまり、正確な表現に基づく知覚や記憶とは異なり、確率的で内部から生成された、あとから修正可能な推定に頼っているという点です。他者の気持ちを完全に正確には知りえず、推測や思い込みで補っているからこそ、思い込みのズレ(バイアス)が生じやすいとも言えます。
02同調:なぜ人は多数派に合わせるのか
同調とは、個人が多数派の見方に合わせて自分の行動・意見・態度を調整する現象で、心理学で最も研究されてきたテーマの一つです。
2024年に発表された同調研究の系統的レビューは、同調を「個人が多数派の見方に合わせるため、自らの行動・意見・態度を調整するプロセス」と定義しています。この分野の基礎になったのは、Aschが1951年に行った実験です。参加者は標準の線と長さの異なる3本の線を見せられ、他の参加者(実は実験者の協力者)が意図的に誤った答えを言うなかで、自分の判断を答えるよう求められました。
同レビューは2004年以降の研究を対象にしていますが、Aschの知見の頑丈さを確認しており、近年の研究でも33〜59%という高い同調率が観察されていると報告しています。多数派が明らかに間違っていても、半数近い人がそれに合わせてしまうということです。
03同調が起こる2つの理由
同調には、他者から好かれたいという「規範的影響」と、他者を情報源として頼る「情報的影響」という、2つの異なる動機があるとされています。
先の2024年のレビューは、DeutschとGerardの1955年の理論にもとづいて、同調を2つのタイプに分けています。1つは「規範的影響」で、社会的な圧力に応じて、嫌われたり否定されたりしないよう多数派に合わせるものです。もう1つは「情報的影響」で、自分の判断に自信が持てないとき、他者がより多くの情報を持っていると考えて、他者の判断を参考にするものです。
この2つの違いを知っておくと、自分や周りの人がなぜ多数派に合わせてしまうのかを考えるときに役立ちます。例えば、会議で誰も反対意見を言わないとき、それが「空気を壊したくない」という規範的影響なのか、「みんなが賛成しているなら正しいはずだ」という情報的影響なのかを区別して考えることができます。
04社会心理学を学ぶ意味
社会心理学の知見を知っておくと、自分や周囲の判断がどんな場面で多数派や他者の影響を受けやすいかに気づきやすくなります。
社会心理学は、同調のほかにも、援助行動や偏見、集団内のひいきなど、他者や集団が関わる行動を幅広く研究しています。これらのテーマに共通するのは、人の判断や行動が、自分一人だけで決まるのではなく、周囲の人や集団の存在によって変わるという点です。
同調が起こりやすい状況(多数派がはっきりしている、自分の判断に自信がない場面など)を知っておくと、自分の意見が本当に自分で考えた結果なのか、周囲に合わせた結果なのかを振り返るきっかけになります。
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KEYWORDS関連する用語
FAQよくある質問
社会心理学とはどんな分野ですか?
他者や集団が人の考え方・感じ方・行動にどう影響するかを研究する心理学の一分野です。自己概念、態度、感情体験、他者理解などを含みます。
同調はどのくらいの人に起こりますか?
Aschの実験を引き継いだ近年の研究でも、33〜59%という高い同調率が観察されていると報告されています。
同調にはどんな種類がありますか?
他者から嫌われたくないために合わせる『規範的影響』と、他者を情報源として参考にする『情報的影響』の2種類があるとされています。
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