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学習性無力感とは

英語: Learned Helplessness ・ 更新日 2026-10-03

学習性無力感とは、自分では避けられない状況を繰り返し経験した結果、その後は自分の行動で変えられる場面でも無気力になり、行動しなくなる現象のことです。

01学習性無力感をくわしく

1967年、ペンシルベニア大学のマーティン・セリグマンとスティーブン・マイヤーは、犬を用いた実験でこの現象を報告しました。犬を3つの群に分け、ある群には自分で止められる電気刺激を、別の群には全く同じ回数・強さの刺激を与えながらも自分では止められない刺激を経験させ、残りの群には刺激を与えませんでした。翌日、全ての犬に今度は飛び越えれば刺激を避けられる新しい課題をさせたところ、止められない刺激を経験した群の約3分の2は逃げようとせずに刺激を受け入れてしまい、他の2群の9割は正常に回避行動を学習しました。

当初は「結果が自分の行動と無関係だと学習してしまう」という説明がされていましたが、セリグマンとマイヤー自身が2016年に発表した総説では、神経科学の知見をもとに説明が修正されました。受動的な反応はむしろ生体の「デフォルトの反応」であり、学習されるのはむしろ「自分で統制できる」という経験の方だとされています。

2023年に発表された続報では、前頭前皮質から脳幹のセロトニン神経への抑制的な働きが、統制できた経験をした後の精神的な回復力(レジリエンス)に関わっていることが説明されています。

「無力感そのものを学習する」という言い方は半世紀前の理解に基づくもので、現在では正確ではないとされている点、また動物実験で見られた行動パターンを人の抑うつにそのまま当てはめることには限界がある点に注意が必要です。

02身近な例

何度頑張っても評価や状況が変わらない環境に長くいると、次第に改善の提案や努力そのものをしなくなってしまう、という状態は学習性無力感の一例として説明されることがあります。

03講座で学ぶ

学習性無力感は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。

  1. 第6章学習とは何か。古典的条件づけとパブロフの実験
  2. 第6章学習性無力感とは何か。セリグマンの実験からわかること

FAQよくある質問

学習性無力感とは何ですか?

学習性無力感とは、自分では避けられない状況を繰り返し経験した結果、行動を変えられる場面でも無気力になり行動しなくなる現象のことです。1967年にセリグマンとマイヤーが犬を用いた実験で報告しました。

学習性無力感とうつ病の違いは何ですか?

学習性無力感はもともと動物実験で見られた行動パターンで、うつ病の研究モデルの一つとして使われてきましたが、動物の行動と人のうつ病は関わる仕組みが異なる部分もあり、そのまま同じものとは言えません。

無力感は本当に「学習」されるのですか?

2016年の総説では、無力感(受動的な反応)はむしろ生体のデフォルトの反応であり、むしろ「自分で統制できる」という経験の方が学習されると説明が修正されています。

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出典

  1. Maier, S. F., & Seligman, M. E. P. (2016). Learned Helplessness at Fifty: Insights from Neuroscience. Psychological Review, 123(4), 349-367.
  2. Baratta, M. V., Seligman, M. E. P., & Maier, S. F. (2023). From helplessness to controllability: toward a neuroscience of resilience. Frontiers in Psychiatry, 14, 1170417.

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