HOME / 日常の心理学 / 心理学用語辞典 / 新近性効果とは
学習と記憶新近性効果とは
英語: Recency effect ・ 更新日 2026-10-03
新近性効果とは、複数の項目を記憶したあとに自由に思い出す(再生する)と、リストの最後のほうに提示された項目ほど思い出しやすくなる現象のことです。
01新近性効果をくわしく
新近性効果は、記憶の研究で古くから知られる「系列位置効果」という現象の一部です。系列位置効果とは、リストの最初のほうの項目が思い出しやすくなる初頭効果と、最後のほうの項目が思い出しやすくなる新近性効果が組み合わさって、記憶成績がU字型のカーブを描く現象を指します。2000年代以降は、行動データだけでなく、脳の電気活動(事象関連電位、ERP)を記録する実験によって、初頭効果と新近性効果がそれぞれ異なる脳の働きと関係している可能性が調べられるようになりました。
2007年にAzizianとPolichが発表した研究では、30人の大学生(平均年齢20.8歳)に、12個の名詞からなる単語リストを1.5秒間隔で20リスト分記憶させ、再生成績と脳波を同時に記録しました。その結果、行動データでは最初の1〜3番目と最後の10〜12番目の単語の再生率が高い、典型的な系列位置カーブが確認されました。脳波を見ると、初頭効果に関わる単語では、あとで正しく再生できた場合にだけ脳の電位が大きくなっていましたが、新近性効果に関わる単語では、再生できたかどうかに関わらず電位が大きくなっていました。この違いから、新近性効果は深い記憶の符号化そのものよりも、リストが終わることを予期する処理と関係している可能性が指摘されています。
2014年のMorrisonらの研究では、5文字のリストを使い、どちらの文字がより前に・より後に出てきたかを判断させる課題で、初頭効果と新近性効果を比べました。20人を対象にした行動実験では、後のほうを判断する課題で新近性効果がより大きく、前のほうを判断する課題で初頭効果がより大きくなることが統計的に確認されました。さらに28人を対象にした脳活動の実験では、初頭効果には前頭部の活動が課題によって変化する様子が見られた一方、新近性効果には明確に対応する脳活動の違いが見つかりませんでした。このことから、新近性効果と初頭効果は同じ一つの仕組みで説明できるとは限らないことが分かります。
新近性効果は、最後に記憶した情報がまだ短期的な記憶に残っている間に思い出しているために起こると考えられています。そのため、リストを覚えた直後ではなく、しばらく時間を置いたり別の作業を挟んだりしてから思い出す場合には、新近性効果が弱まりやすいとされています。
02身近な例
たとえば、複数の候補者と面接したあとに評価をつけると、直前に会った候補者の印象が一番強く残りやすいのも新近性効果の一例です。
03講座で学ぶ
新近性効果は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。
FAQよくある質問
新近性効果とは何ですか?
複数の項目を覚えたあとにすぐ思い出すと、リストの最後のほうに出てきた項目ほど思い出しやすくなる現象です。
新近性効果と初頭効果の違いは何ですか?
初頭効果はリストの最初のほうの項目が思い出しやすくなる現象で、新近性効果は最後のほうの項目が思い出しやすくなる現象です。研究では、初頭効果は項目をしっかり記憶に刻み込む処理と関係し、新近性効果は思い出す直前までまだ記憶に残っている情報を使っている可能性が高いなど、背景にある仕組みが異なると考えられています。
新近性効果は時間が経っても続きますか?
新近性効果は、最後に見た項目がまだ短期的に記憶に残っていることと関係していると考えられているため、記憶してから思い出すまでに時間が空いたり、別の作業を挟んだりすると弱まりやすいとされています。
RELATED同じ分野の用語
出典
- Azizian, A., & Polich, J. (2007). Evidence for Attentional Gradient in the Serial Position Memory Curve from Event-Related Potentials. Journal of Cognitive Neuroscience, 19(12), 2071–2081.
- Morrison, A. B., Conway, A. R. A., & Chein, J. M. (2014). Primacy and Recency Effects as Indices of the Focus of Attention. Frontiers in Human Neuroscience, 8, Article 6.