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臨界期とは

英語: Critical Period ・ 更新日 2026-10-03

臨界期とは、その期間を過ぎると、神経回路に永続的な変化が生じやすくなる、発達の中の限られた期間のことです。

01臨界期をくわしく

臨界期とは、脳が特定の経験に対して特に敏感に反応し、その経験の有無によって神経回路に長く残る変化が生じやすくなる、発達初期の限られた時期を指します。視覚の発達に関する研究で特によく調べられてきた考え方です。

1960年代、神経科学者のヒューベルとウィーセルは、子猫の片方の目を一時的に縫合して見えない状態にする実験(単眼遮蔽)を行い、発達初期にこの処置を受けた猫では、見えない状態にされた目に対応する脳の神経細胞の反応が弱まることを示しました。2023年に発表された追試的な研究でも、生後30日の子猫の片目を7日間遮蔽すると、対応する脳の部位(外側膝状体)の神経細胞の大きさが約20%、神経線維の密度が約51%低下することが確認されています。一方で、この遮蔽を8日間で終えて目を開けると、変化はほぼ完全に元に戻ることも示されました。

臨界期という考え方は、人の視覚の発達障害(弱視)の治療にも関わります。2026年に発表された弱視に関する総説は、臨界期を「ある年齢を境に可塑性が完全になくなる」という白黒の切り替えとしてではなく、年齢とともに反応性が徐々に下がっていく連続的な変化として捉えるべきだと述べています。この総説は、年齢だけを理由に治療をあきらめるべきではなく、年長の子どもや大人でも一定の改善の余地が残っている場合があると指摘しています。

つまり臨界期は、「その時期を過ぎたら一切変化しなくなる締め切り」ではなく、「経験の影響の受けやすさが特に高い時期」として理解するのがより正確だといえます。

02身近な例

小さいころに強い近視や斜視で片目をあまり使わない状態が続くと、見た目の問題がなくても、その目の視力が育ちにくくなることがあります。これは臨界期における視覚発達の仕組みと関係していると考えられています。

03講座で学ぶ

臨界期は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。

  1. 第9章発達心理学は何を研究する学問か

FAQよくある質問

臨界期とは何ですか?

臨界期とは、その期間を過ぎると、神経回路に永続的な変化が生じやすくなる、発達の中の限られた期間のことです。視覚の発達では、この時期に目から入る情報が不足すると、脳の対応する部位の働きが弱くなることが動物実験で示されています。

臨界期と敏感期の違いは何ですか?

どちらも経験の影響を受けやすい時期を指す言葉として使われますが、近年の研究では両者を厳密に分けず、反応性が徐々に下がっていく連続的な変化として捉える見方も示されています。

臨界期を過ぎたら、脳はもう変化しないのですか?

いいえ。2026年の弱視に関する総説は、年齢だけを理由に治療の可能性を否定すべきではなく、年長の子どもや大人にも一定の改善の余地が残っている場合があると指摘しています。

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出典

  1. Henneberry, J. M., Elgallad, J., Smith, S., & Duffy, K. R. (2023). Early monocular deprivation reduces the capacity for neural plasticity in the cat visual system. Cerebral Cortex Communications, 4(3), tgad017.
  2. Ibrahimi, D., & García-Martínez, J. R. (2026). Amblyopia in 2026: A state-of-the-art review of multidimensional phenotyping, response heterogeneity, and clinical considerations. Brain Sciences, 16(5), 467.

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