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学習と記憶代理強化とは
英語: Vicarious Reinforcement ・ 更新日 2026-10-04
代理強化とは、自分自身が直接報酬を受け取るのではなく、他者が行動に対して報酬(または罰)を受けている様子を観察するだけで、自分の行動に影響が生じることのことです。心理学者バンデューラの観察学習の研究から発展した概念です。
01代理強化をくわしく
代理強化は、観察学習(モデリング)の重要な要素の一つです。2018年の総説によると、バンデューラが行った有名な「ボボ人形実験」では、大人が人形に対して攻撃的に振る舞う様子を見た子どもたちが、直接ほめられたり罰を受けたりしていないにもかかわらず、その大人の振る舞いを真似て攻撃的な行動を増やしたことが示されました。
神経科学的な研究でも、他者が報酬や罰を受ける様子を観察するという「社会的な情報」が、直接の学習に関わる脳の回路(古典的な報酬系を含む)の働きに影響を与えることが示されています。自分が直接経験しなくても、他者の経験を見るだけで似た学習効果が生じる可能性があるということです。
ただし、代理強化の効果は単純ではありません。2022年に青年を対象に行われた実験では、他者の向社会的な行動(人を助ける行動)に対する「報酬」の場面を見せても、必ずしも観察者自身の向社会的行動が増えるわけではなく、むしろ「罰」の場面を見た場合に、観察者の向社会的行動がはっきりと減少することが示されました。研究チームはこれを、良い情報より悪い情報の方が感情的な影響が大きい「ネガティビティ・バイアス」によるものと説明しています。
代理強化は「人のやっていることを見ただけで、まるで自分が経験したかのように学習してしまう」という点が特徴的ですが、報酬と罰で効果の大きさが異なるなど、単純に「良いことを見れば良い行動が増える」とは限らない点は誤解されやすいポイントです。
02身近な例
兄や姉がお手伝いをしてほめられているのを見た弟や妹が、自分も同じようにお手伝いをしようとするのは、代理強化の例です。
03講座で学ぶ
代理強化は、無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次のレッスンで詳しく学べます。
FAQよくある質問
代理強化とは何ですか?
代理強化とは、自分自身が直接報酬を受け取るのではなく、他者が行動に対して報酬や罰を受けている様子を観察するだけで、自分の行動に影響が生じることのことです。
代理強化と観察学習の違いは何ですか?
観察学習は、他者の行動そのものを見て真似て学ぶこと全般を指す広い概念です。代理強化は、その観察学習の中でも特に「他者が受けた報酬・罰を見ること」が自分の行動に与える影響を指す、より具体的な仕組みです。
良い結果を見れば必ず同じ行動をするようになりますか?
いいえ。2022年の実験では、他者が罰を受ける場面を見ると観察者の行動がはっきり減る一方、他者が報酬を受ける場面を見ても行動が必ず増えるわけではないことが示されており、報酬と罰では効果の大きさが異なります。
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出典
- Carcea, I., & Froemke, R. C. (2019). Biological Mechanisms for Observational Learning. Current Opinion in Neurobiology, 54, 178-185.
- Li, W., Mao, Y., & Hu, B. (2022). Will exposure to different consequences of prosocial behavior always lead to subsequent prosocial behavior among adolescents: An experimental study of short videos. Frontiers in Psychology, 13, 927952.