HOME / 日常の心理学 / 心理学の学び方 / 心理学部・心理学科では何を学ぶ?
心理学の独学Q&A心理学部・心理学科では何を学ぶ?
更新日 2026-10-03
心理学部・学科では、研究法・統計を核に、脳や発達、社会心理学などの基礎・応用分野を一通り学びます。自分でデータを集めて分析する実習が中心です。
01研究法・統計がカリキュラムの土台になる
心理学の学部教育では、研究法と統計の科目がカリキュラムの土台に置かれています。
心理学専攻の研究法・統計教育を論じた2016年の論文は、「研究法と統計は、専門的な能力と根拠にもとづく心理学的実践の発展にとって中核をなす」と位置づけ、ほぼすべての心理学専攻で必修になっていると指摘しています。これは、科学的に推論し、証拠を評価する「科学的探究と批判的思考」という、心理学教育の主要な目標の一部です。
カナダの大学の心理学プログラムの作り方を報告した2018年の論文では、1年次に統計の入門科目を2つ連続で履修し、同時に研究法の入門科目を学ぶ構成が紹介されています。2年次にはさらに進んだ研究法と心理測定法・心理テスト、3年次には多変量統計を学ぶというように、学年が上がるほど扱うデータの種類と分析手法が増えていく設計です。
02基礎分野から応用分野まで幅広く学ぶ
心理学教育では、脳のしくみから発達・社会・異常心理まで、複数の分野を一通り学びます。
学部・大学院向けの心理学入門書(2009年)は、心理学を「生物学的基盤」「知覚と記憶」「個人差と知能」「発達(認知発達から愛着まで)」「社会的な相互依存性」「正常と異常の人間行動」という複数のセクションに分けて説明しており、研究法の章を含めて全体を一通り学ぶ構成になっています。
このように、心理学部・学科では一つの分野だけを深く学ぶのではなく、脳と心の関係(生理心理学)、学習と記憶、発達、社会心理学、パーソナリティ、心の不調の理解(臨床心理学)など、複数の基礎・応用分野を並行して学ぶことになります。
03自分でデータを集めて分析する経験をする
座学だけでなく、自分でテーマを決めて調査・実験を行い、データを分析する実習が重視されています。
先の2018年の論文で紹介されている大学では、3年次に学生が自分で選んだテーマで行う卒業研究(優等論文)と、2学期にわたるゼミ形式の授業が設けられています。学生が研究を立案・実施することで論文の著者としての資格を得やすくなり、同じ研究室だけで70篇を超える学会発表・論文につながったと報告されています。
また、複数のチームが同じ研究を並行して再現する「再現研究プロジェクト」も取り入れられており、十分なサンプル数を確保しながら、研究が本当に再現できるかを確かめる経験を積めるようになっています。
04学んだ知識は、仕事や社会の課題にも生かされる
心理学の知識は、個人の悩みだけでなく、職場づくりや社会のルール作りにも応用されています。
心理学的リテラシーについて論じた2016年の論文では、心理学の知識の応用例として、産業・組織心理学による職業上の成功や、スポーツ心理学によるパフォーマンス向上、親向けの訓練プログラムの成功などが挙げられています。
さらに、より良いビジネスの実践や、根拠にもとづいた法律・制度づくりといった社会レベルの効果も期待されるとされています。心理学部・学科で学ぶ内容は、特定の資格や仕事だけに限らず、幅広い場面で生かせる知識だといえます。
COURSE講座で学ぶ
無料講座「ゼロから学ぶ心理学入門」の次の章で、順番に学べます。
KEYWORDS関連する用語
FAQよくある質問
心理学部では心理テストやカウンセリングのやり方だけを学びますか?
いいえ。研究法や統計を土台に、脳・学習・発達・社会心理学など複数の分野を一通り学びます。カウンセリングの実践はその一部にすぎません。
心理学部のカリキュラムはどこの大学でも同じですか?
細かい科目構成は大学によって異なります。ここで紹介した例はカナダの一つの大学を分析した論文ですが、研究法・統計を中核に置く点は多くの心理学教育に共通しています。
心理学部で学んだ知識は、研究者以外の仕事にも役立ちますか?
役立つとされています。産業・組織心理学やスポーツ心理学のように、職場や実践の場で心理学の知識を応用する分野もあります。
出典
次に読む