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心理学の分野

認知心理学とは(第5・7・8章)

更新日 2026-10-03

認知心理学とは、知覚・記憶・思考など、人が情報をどう取り込み・保存し・使うかを研究する心理学の一分野です。1940〜50年代の『情報処理革命』を機に確立しました。

01認知心理学の始まり:情報処理革命

認知心理学は、サイバネティクス・情報理論・統計的推論という3つの考え方が合流した『情報処理革命』によって、1940〜50年代に確立したと論じられています。

2018年の論文は、認知心理学が「認知革命」ではなく「情報処理革命」と呼ぶべき変化を経て確立したと論じています。その土台になったのは、ウィーナーの『サイバネティクス(制御システムの理論)』、シャノンの『情報理論(通信における情報量の定量化)』、フィッシャーらの『統計的推論(帰無仮説検定や分散分析)』という3つの考え方です。

この変化によって、心理学者は人の心を『制御システム』や『情報処理システム』としてモデル化できるようになりました。同論文は、この枠組みが、選択的注意(カクテルパーティー問題)、反応時間(ヒックの法則・フィッツの法則)、知覚(信号検出理論)、記憶(符号化と多重貯蔵モデル)、問題解決(手段-目的分析)など、認知心理学の主要なテーマすべてに広がっていったと説明しています。

02知覚と注意:情報をどう取り込むか(第5章)

認知心理学では、人が多くの情報の中から必要なものを選び取る『選択的注意』や、あいまいな刺激を判断する過程が研究されてきました。

先の2018年の論文で紹介されている『カクテルパーティー問題』は、パーティーのような騒がしい場所でも、自分が注意を向けた相手の声だけを聞き分けられるという現象です。この現象の研究から、人の注意には限りがあり、その限られた注意をどこに向けるかによって、同じ場面でも取り込める情報が変わることがわかってきました。

また、ある刺激が存在するかどうかを判断する場面を説明する『信号検出理論』も、知覚研究の重要な道具として紹介されています。これは、刺激そのものの強さだけでなく、判断する人の基準(どれくらい自信がないと『ある』と答えないか)によっても、見え方・聞こえ方の判断が変わることを示す考え方です。

03記憶:情報をどう保存するか(第8章)

記憶は、数秒から数時間続く短期記憶、情報を保持しながら操作する作業記憶、数日から数年続く長期記憶に分けられ、さらに意味記憶とエピソード記憶に分類されます。

2010年の論文は、記憶のシステムを、連続的な神経活動が特徴の『短期記憶』、情報の維持と操作を行う『作業記憶』、数日から数年持続する『長期記憶』に分類しています。さらに長期記憶の中でも、時間や場所などの文脈を含む『エピソード記憶』と、文脈と無関係な知識である『意味記憶』が区別されると説明されています。

同論文は、記憶を思い出す(再活性化する)ことが、その記憶に新たな変化を加えるきっかけになるとも報告しています。例えば、恐怖を伴う記憶を再活性化させた直後に薬剤を投与すると、その後の恐怖反応が弱まるという研究が紹介されており、記憶は一度覚えたら変わらないものではなく、思い出すたびに書き換えられうるものだと考えられています。

04思考・問題解決:情報をどう使うか(第7章)

認知心理学では、ゴールまでの距離を縮める手段を探す『手段-目的分析』のように、人がどのような手順で問題を解決するかが研究されてきました。

2018年の論文は、初期の人工知能研究とも結びついた『手段-目的分析』や『ジェネラル・プロブレム・ソルバー』というプログラムを、問題解決研究の代表例として紹介しています。これは、現在の状態と目標の状態の差を見つけ、その差を縮める手段を一つずつ選んでいくという考え方です。

知覚・記憶・思考という3つの領域は別々に見えますが、どれも『情報をどう取り込み、保存し、使うか』という一つの流れの中にあります。日常生活で何かを見て(知覚)、覚えて(記憶)、判断する(思考)という一連の流れを振り返ると、認知心理学の各分野のつながりが見えやすくなります。

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FAQよくある質問

認知心理学とはどんな分野ですか?

知覚・記憶・思考など、人が情報をどう取り込み・保存し・使うかを研究する心理学の一分野です。1940〜50年代の情報処理革命によって確立しました。

記憶にはどんな種類がありますか?

数秒から数時間の短期記憶、保持と操作を行う作業記憶、数日から数年続く長期記憶に分けられ、長期記憶はさらに意味記憶とエピソード記憶に分類されます。

思い出した記憶は変わってしまうのですか?

研究では、記憶を再活性化する(思い出す)ことが新たな変化のきっかけになり、その後の内容や反応が変わることがあると報告されています。

出典

  1. Xiong & Proctor (2018). Information Processing: The Language and Analytical Tools for Cognitive Psychology in the Information Age. Frontiers in Psychology 9:1270
  2. Nadel & Hardt (2010). Update on memory systems and processes. Neuropsychopharmacology 36(1):251-273

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